011029jichi 中村作成メモ
寄本勝美編著『公共を支える民―市民主権の地方自治』(コモンズ2001年)
プロローグ 二つの公共性と官、そして民
公共の担い手=官(行政)→公的公共性
民(市民、民間企業)→私的公共性
公共政策=「市民、企業、それに行政の役割の分担と組合せの図式を実現」
役割相乗型の公共政策の追及
「官僚もまた民」「公務員市民」「企業市民」
「官僚化」「民僚化」
第1章「分権改革と21世紀の地方自治」4、5、6
(1) 公共事業の分権化と税財源の移譲が必要
「実施と負担の主体を利用者に身近な自治体へ下ろしていくべき」
税財源移譲による都市部と農村部の財政力格差の拡大どうするのか?→
案として地方所得税の構想:
個人所得への課税について、「比例税率部分によって得られる税収は比較的偏在
性が小さい」から比例税部分を地方所得税とし、累進税率部分を国税とする案。
神奈川県の案:
「比例所得税よりも消費税のほうが偏在の度合いが小さい」から、比例所得税4%
(市町村3%、都道府県1%)と消費税2%(市町村・都道府県1%)を組み合わせ
て税源を移譲するという案。移譲される金額は約10兆円で、国と地方の税源配
分は国6・地方4から国5・地方5へ。
「税源移譲といっても、現在自治体が補助金や地方交付税交付金などのかたちで国か
ら交付されているカネを削り、それに見合う分が税源の形で移譲される」→
補助金・地方交付税の改革が必要→
補助金=国庫支出金。その内訳は国庫負担金、国庫補助金、国庫委託金。
国庫補助金の奨励的補助金を廃止すべき。
国庫負担金のうち建設事業国庫負担金の区分を廃止すべき。
地方交付税という制度は残し、その運用を改める必要あり。
「一部の補助事業について、補助金をとれば交付税が自動的に増額する仕組み」が問題。
単独事業にも地方交付税が投入されるのは問題。
「地方交付税は、財政力の乏しい自治体にも一定水準の行政を保障するためになくてはな
らない制度」
(2) 「地方自治基本法」の制定が必要
自治立法権、自治組織権、自治財政権がこの中に盛り込まれるべき。
自治体の組織と運営については自治体ごとに自治基本条例で定めるべき。
日本型福祉社会論:「福祉支出の増大を経済活力にとっての重大な阻害要因として捉
え、その抑制を図るとともに、その肩代わりを社会の領域、すなわち家族、企業、地
域共同体などに求める立場」。しかし、「女性の社会進出と終身雇用制の揺らぎによ
り、日本型福祉社会論の支柱であった家族介護と企業福利に依拠することが困難にな
った。」
→介護保険の導入へ。
新たな福祉国家路線:サービス供給の担い手が多様(供給主体の多元化)。これは政
府の責任放棄か?
「供給主体の多元化は、地域における多様な供給主体間の調整の必要性を高める」
「市町村には、地域のサービス・ネットワークのコーディネーターとしての役割が期待
される」
「今後の自治体には、サービス供給主体としての役割とともに、市民活動の潜在的可能
性を引き出す触媒としての政策が求められる。」
「国による関与の縮小が自治体政策の幅を広げる」
―地方自治の基礎知識 その2―(主として浜島書店『最新図説 政経』pp.152-157をもとに)
直接請求制度
条例の制定・改廃:イニシアチブ(住民発案)。有権者の50分の1以上の署名を首長に。
首長は議会にかけ議決(過半数で成立)、結果を公表。
事務監査:有権者の50分の1以上の署名を監査委員に。
監査委員は監査の結果を首長・議会に報告し、その結果を報告。
議会の解散:有権者の3分の1以上の署名を選挙管理委員会に。
選挙管理委員会は住民投票(レファレンダム)にかけ、過半数の賛成があれば解散または解職。
議員・首長の解職:リコール(解散請求権)。有権者の3分の1以上の署名を選挙管理委員会に。
選挙管理委員会は住民投票(レファレンダム)にかけ、過半数の賛成があれば解散または解職。
役員(副知事・助役など)の解職:有権者の3分の1以上の署名を首長に。
首長は議会(3分の2以上出席)にかけ、その4分の3以上の賛成があれば解職。
*以下は、地方自治体の財源問題や補助金問題について同書p.155(赤字チャックは中村)
○ ○
歳入の段階では国の取り分が多いことに注意!
歳出の
段階
では
これ
が逆
転する。 90年代に地方債依存度が急激に増加
99年には地方債は120兆円を超過
都道府県レベルでの自治体間
格差に注目!
* *以下のポイント整理については同書p.157
* (赤字チェックは中村)
○
○
☆このポイント
○ はぜひ頭の中に入れて
○ ○ おいてほしい。
○
○
○
○ ○ (補助金)○
○ ○ ○
<ホームページ紹介>
野口悠紀雄Online:既に受講生の一部は利用しているのでは。まさに「情報源」として利用価値大。
閲覧するためのパスワードはここに書くわけにはいかないが、「11月17日より、「インターネット情報源」
は無料公開となるため、パスワード入力の必要がなくなります。」という記述あり。
次回の講義予定:レポートテーマ例の提示と提出までのスケジュールの設定。
『公共を支える民』は第3章の1,2,3を読んでくるように。