010521gairon (中村祐司作成)
サブテキスト
『公共を支える民』
第7章「民が主役で公が支える高齢者福祉」
1.
超高齢社会の到来と地方自治
65歳以上の2000万人超。従来、高齢者福祉は「お上の仕事」というイメージ。
2000年4月:介護保険実施。
「お上の福祉」から「民の福祉」へ=「行政による措置から民間事業者によるサービスへ」
高齢化率(65歳以上の高齢者の全人口に占める割合)日本14%(1994年)で「高齢社会」に→17%(2000年)
2025年には高齢者人口3300万人超で、4人に1人が高齢者という「超高齢社会」
要介護高齢者は280万人(2000年)、2025年(520万人)
核家族化、少子化、女性の社会進出
在宅ケア(ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ)
「在宅ケアはきめ細かい対応が求められるため、施策の主体が国から地域、政府から地方自治体へと移ることになる」
スウェーデン型:間接税による高率の租税負担を課すことにより財源を確保し、主体は自治体
ドイツ型 :介護保険を導入し財源を捻出。主体は自治体や民間事業者(多元的な福祉サービスの提供)
地方自治を実践する絶好のチャンスの反面で営利事業化による福祉形骸化や日本型公的福祉システム崩壊の懸念
2.
「お上」の福祉から「民」の福祉へ―日本の高齢者福祉政策の推移
戦後の高齢者福祉政策の柱は、施設収容主義(対象は経済的困窮者)と措置制度(都道府県や市が施設入所者の審査や決定を行う)
しかし、「主体は、意外にも当初から民間団体」(社会福祉事業法にもとづく社会福祉法人。社会福祉協議会→実質は国の下請け機
関に近い。在宅サービスにおいて全市町村の8割近くの業務を受託=市町村の下請け部隊)
ゴールドプラン:1989年。高齢者保健福祉推進10ヵ年計画:施設福祉から在宅福祉への方針転換
90年の老人福祉法の改正により、高齢者福祉の主体が市町村へ
1995年から新ゴールドプラン(ホームヘルパー17万人養成、ショートステイ受け入れ6万人、デイサービス
1万7000ヵ所の目標設定)
介護保険の導入:「40歳以上の被保険者から徴収した保険料と公費を財源に、市町村(特別区も含む)が保険者として運営」
社協、NPO(非営利民間団体)、生協、JA(農業協同組合)、営利企業
市町村による要介護認定。ケアマネージャー(介護支援専門員)によるケアプラン(介護計画)の作成
保険者は市町村:要介護認定、保険の給付、地域の福祉サービスの計画・調整・監視
「民間セクターを中心に要介護高齢者を社会全体で支える仕組み」。しかし、貧しい層への介護不十分、利
用者の負担増、市町村サービス格差などの問題点あり。
次回はテキスト8章まで
サブテキストはこの章の3節、4節、5節