ISFJの感想
3年 倉井宏章
思い返せばこのISFJは参加決定から政策フォーラムでの発表まで、本当に紆余曲折あったように思います。
もともと自分たちはISFJの担当ではなかったため、正直自分たちには関係ないやくらいにしか思っていなかったのですが、大人の事情というやつで前に担当していた人の都合がつかなくなったため、7月頃のゼミにて急きょ中村先生から ISFJへの参加の引き継ぎ要請を受けました。突然のことで断る理由が見つからなかったことと、要請を受けた三人の意思疎通がとれていなかったこと、中村先生がなんとも神妙な面持ちで場の空気がこの上なく重かったことなどから、その場凌ぎの意味でやってみますと返事をしたように記憶しています。そんなわけで、せっかくお話をくださった中村先生には大変失礼な話ですが、参加決定当初はやる気のやの字もない状態でした。
テーマについてもなかなかこれだというものがなかったのですが、私個人が前期のゼミで医療問題を取り上げたこともあり、中村先生と大宅さんから医療がタイムリーな話題でいいのではないかという助言を受けてなんとなく医療問題ということに決まりました。前期でやっていたとはいえ、私自身の医療の知識も素人に毛が生えた程度と言われればそれまでのものでしたので政策提言なんてできるのかと不安はありましたが、とりあえず研究を進める上で3人で知識を共有しなければ始まらなかったため、私が前期に使った医療に関する本を2人に読んでもらうことから始めました。
夏休みに入ってからは、8月の末までにISFJ運営委員のほうから研究方向性報告書なるものを提出するよう言われたので、一応動き出したのは8月の中旬くらいです。その間もISFJ主催の勉強会や合宿などがありましたが、正直面倒くさかったので出ていません。ということで、動き出したといっても3人で集まってうだうだ話し合って報告書をまとめる程度で、危機感のかけらもありませんでした。
そんな感じで夏休みが終わってしまい、10月のはじめにあった第1回中間発表会で他大学と初めて顔合わせしました。分科会は明治大学、慶応大学と一緒になりましたが、両大学とも計量分析なるものを使っていてかなりハイレベルな内容で、プレゼンも予備校の授業のようにとてもわかりやすいものでした。自分たちのプレゼンは本で読んだ問題意識を集めたものにこれまた本で読んだ解決策を集めて取って付けたような内容だったので、流れも曖昧で他大学からの質問にもなかなかしっかりと答えられませんでした。このままではまずいとここでようやく危機感を覚え、その後は話し合いの場を多く設けて研究にも時間を割くようにしました。第2回中間発表会では第1回での失敗を踏まえて流れを重視しましたが、ゲストの方から「きみたちは問題意識が幅広すぎる。もっと絞ったほうがいい。」との助言を頂きました。そのため、最終論文提出の期限が1か月先に迫ってはいましたが大胆な方向転換を決断し、今まで学んだ知識を全部捨てて新たに問題意識を見出すつもりで栃木県庁の医事厚生課を訪問し、栃木の地域医療の現状から日本の医療崩壊を見つめなおすというスタンスから新たに研究を進めました。時間もなかったので期限前は電算室に篭る日が続きましたが、県庁を訪問したことで「地域」という中村ゼミらしい視点からの政策提言をひねり出すことに繋がったので結果的にはよかったかなと思っています。
政策フォーラムでは他大学のプレゼンはもちろんのこと、1日目のパネルディスカッションから2日目の基調講演まで全てが刺激的で有意義なものでした。プレゼンにおいても自分たちの考えを自分たちのスタイルで発表できたのでとても満足しています。
参加決定当初は全くやる気のなかったこのISFJですが、最後までやり通したことで本当に多くのことを学ぶことができ、その全てが私にとって大変貴重な経験となりました。もちろん、共同論文など書いたことのない自分たちにとって、論文の執筆は慣れないことばかりでしんどいなぁと思うことも多々ありました。しかし、相談の度、減らず口ばかり叩いていたにも拘らずいつも親身になってお話を聴いてくださり、貴重なアドバイス、ご指導を頂いた中村先生、貴重なお時間を割いてお話していただいた栃木県庁医事厚生課の大森さん、大塚さん、至る所で励ましの言葉を下さった先輩方、政策フォーラムに足を運んでくれた中村ゼミの3年生、、、、皆さんの支えがあったからこそ最後までやりきることができたと思います。今はISFJに関わってくださった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。最後に、あらためて感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
3年 横澤光祐
本当に大変で身になる経験でした。
今回のISEJは自分を含めた3人で、医療崩壊をいかにして食い止めるかというタイトルで取り組みました。まぁ自分はどちらかといえば支える役割でした。
一番初めは担当ではなかったのですがやることになりまして、活動を始めた夏休み頃はまぁとりあえずやれるだろうという位の気持ちでしたが、いざやっていくとそんなものは大間違いだと気付きました。10月から本番の12月20・21日まではこの取り組みにかなり時間を費やしました。お互いの時間を合わせて集合することが意外と曲者で、3人はもちろん2人でも、集まれそうでなくとも1人でやれることはやりました。電算室に頻繁に通い、資料室も使用するようになりました。
情報収集や参考資料を探し、本を読むなど、それなりの量に目を通しました。が、それで完璧かといえばおそらくそうではないでしょう。医療問題は様々な要因が複雑に絡み合っていて解決するのは容易なものではないと知ったからです。ただ、他大学に質問できるようなそれ相応の知識はついたと思います。また、医療にとどまらず様々なことを知れました。
論文作成と10月中に2回あった中間発表、そして本番。その中で何回かの方向転換がありました。ゲストの先生方のコメントや栃木県庁でのインタビューにより色々と自分達の中に変化が起きたからです。自分の中で意識や考え方が変わりました。
またそれによってか、政策提言に重点を置くということや問題意識などと政策提言がしっかり繋がるようにするということを考えることができました。
練習では目も当てられないようなプレゼンも本番は自分でも上手くやれたと思ってます。本番の発表時には地方自治や行政という、所属するゼミの色を政策提言に打ち出すことができました。他大学の発表の他にも当日はパネルディスカッションや基調講演が行われ、他大学の発表から自分達にはできなかった回帰分析のような計算も必要なことが改めてわかりました。
終わってみれば色々と大変でしたがまぁそのぶん得るものはあったと思います。ISEJを担当してなかったらこんな経験はなかったでしょうし。3人が協力し3人とも良くできたと思います。そしてここに来るまでに先生と研究室の皆さんの叱咤激励や応援に助けてもらいました。ありがとうございました。
3年 郡司寿次
私達は今回のISFJにおいて、「医療」について取り上げました。ISFJへの参加と、論文テーマが決まった時には、正直自分は医療についての知識は殆どなく、ニュースなどで取り上げられている教養程度の知識しかありませんでした。そのため、最近の頃は論文を書くことなどできないと思っていました。
しかしながら、医療について詳しい倉井君の手助けを受け、説明してもらいながら、自分自身医療について一から学びながら論文作成に関わることができました。本当に倉井君に感謝していて、手助けがなかったら間違いなく挫折していました。ありがとうございました!
また、他大学に中間発表に行き、医療の分野に精通した専門家の貴重な講評を頂いて、論文をよりよくできたこと、自分自身では調べきれなかったことも聞けて、大変有意義な時間を過ごせました。
本当にお疲れ様でした!
3年 高荒あかり
ISFJ担当の、倉井くん・横澤くん・郡司くんお疲れ様でした!論文の形式や論理の進め方などで大変な面もあったと思いますが、夏休みからこつこつ進めていった成果があらわれていたと思います。ISFJもまちづくり提案もそれぞれのグループで、「あーでもない、こーでもない」と模索しながら一つのものを仕上げてきたことはいい経験だったと思います。発表やパワーポイントもどんどんわかり易く、よくなっていって「すごい!」と感じてました。実は少し内容がよく理解できてなくて申し訳なかったですが、本番の発表ではもやもやしていたものがわかってきました!
ISFJ全体の感想になりますが、まちづくり提案とはまた違い、より大きな視野で政策を考える場であったと感じます。また実際に国の政策に関わっている方々に自分たち(大学生)の考えを見てももらえる大きな機会であったと思います。
そして、他大学の同世代の人たちが書いた深く追求された論文や、堂々としたプレゼンを通していい刺激を受けることもできました。
ISFJもジョイント合宿もまちづくり提案も自分たちの考えを発表する場、そして自分たちの発表に対して意見をもらったり、他大学の考えに触れられる場としてとても貴重なものだったと感じます。発表の準備は大変でしたがこういう場に参加できてよかったなと思います。
3年 古川智美
全国規模で行っている学生の政策提案発表の場だけあって、レベルの高さを感じました。政策の内容然り、プレゼンの仕方なども最優秀受賞の団体は素晴らしかったです。政策の内容を理解できるような基本知識=日本が現在抱える問題に対する知識を身につけなければならないと反省しました。基調講演はこれから就職活動をしていくにあたってのアドバイスにもなり、とても心に染みました。
倉井君、郡司君、横澤君、おつかれさまでした。
3年 高橋香里
ISFJ研究発表会に参加してみて一番驚いたことは、その規模の大きさでした。関西などからも多くの大学が参加しており、参加大学が多い分、各大学のテーマも幅広くどれも興味深いものばかりでした。すべての発表が聞けなかったのが惜しいくらいです。
特に受賞大学による発表がとても印象的でした。パワーポイントが工夫されて作られていてとても見やすく、発表自体も迫力と説得力があり、ただ感心するばかりでした。これからの研究の際、参考にしていきたいと思います。もちろん受賞していない他の大学の発表もどれも素晴らしく、研究の成果が出ていました。宇都宮大学の発表もとてもよかったと思います!
ISFJは発表する側ではありませんでしたが、参加してみてとてもよい経験になりましたし、他大学からたくさんの刺激を受けました。最後になりますが発表者の皆さん、本当にお疲れ様でした。
3年 米田恭子
ISFJは発表者の立場ではなかったが他大学の研究に触れることができ大変刺激になりました。他大学ゼミは経済系が多く、論文にも数式を用いる等を行っており『数字』という眼に見える形だったので圧倒された部分も多かったです。ISFJでは第三者の立場として落ち着いて客観的に見ることができたように思います。
しかしながら中村ゼミナールの発表は問題点の設定や政策の提案も他大学とは一味違ったものとなっており大変興味深いものになりました。
同じ医療という問題に関しても様々な切り込みの視点があることを教えられ、今後の卒論等に繋がる良い経験ができたと思います。
発表者の皆さん、中村先生、お疲れ様でした。
論理性と柔軟な発想のバランス
真玉橋 知香
昨年私たちはジョイント合宿幹事校であり、また全日程が合宿と重なってしまったこともありISFJには全く参加できず、ISFJがどのような舞台なのかすら知りませんでした。ただ、知らないながらも日本の政策提案のトップの場とはどのようなものか興味がありました。
参加して、学部の毛色の違いを強く感じました。経済学部系の人たちは関数を用いて求めたい傾向の真偽を測ります。決して感覚的なことで論を展開せず、自分たちが感じるその感覚的な事象は事実なのか思い込みなのか?…そこから検証していました。
私が聞いた分科会が医療分野だったのでたまたまそのような発表スタイルだったのかもしれませんが、そのスタイルは私にとっては新鮮でした。
まず真偽を測る関数の定式があって、その定式の中の変数に真偽を求めたい事象に関わる客観的なデータをとり真偽を出すのですが、この客観的なデータの選定を自分たちで行うため、結果に論理性があるかないかで差が出てくるという感じでした。論文を書いていると、どうしても「私はこう感じているけど、本当にそうなのか?」と疑問に思うことが多々起こってきますが、そうした疑問に、その時点での結果ではあってもハッキリと答えを出すこのスタイルは私にとって納得しやすいものでした。
政策を決定する際にはこのような客観的な数値が重要になってくると思います。多額の投資をするのに費用対効果などが不明瞭では誰も投資なんかしようと思わないでしょう。実際の社会では、“すでに発表はされていないけど、世の中の現象からより確かだと思える事象を自ら導き出す”能力=先を読む力は重要だと思うし、そのためにこうした検証の過程も重要なのではないかと感じました。
しかし、このような数値を追うばかりではなかなか新しい発想を生むこと、広い視点で現象を捉えることは難しいのだと思います。私の聞いた発表の多くは関数を追うことがメインになっており、実際の提案はそれら関数から導いた実現できそうな対策に留めているという印象を受けました。実行可能性という意味から見ればそれらは良い提案なのかもしれませんが、現象にばかり捉われすぎても、柔軟な発想は出来ないのだと私は感じました。
世の中を変えるような大胆な発想は、もう少し広い視野や“最後の最後までは検証できない人間感情”のようなものから来るのでは…と思いました。その意味では国際学部生のような文系人間の発想と、理系人間の論理性がバランスよく揃っていないと良い提案をする…何かを生み出すのは難しいことだと感じました。
最後になりましたが、3年生のみなさん、お疲れさまでした。ISFJには参加していなかったこともあって、何にも具体的なサポートをしてあげられなくてごめんなさい。でもよくがんばったね!みんなのがんばり伝わったし、すごいなと思ったし、密かに応援していました!(密かじゃだめだとは思いますが…ゴメン;)私はせめて晴れの舞台でみんなの姿が見られて良かったです。私はできなかったけど、みんななら来年の下の子たちに色々アドバイスできると思うので、どうぞかわいがってあげてね♪
ほんとうに、お疲れさまでした。
参加者の3人へ 〜「1年越し」のISFJ〜
院生1年 大宅宏幸
私がISFJに参加してからもう2年が経った。去年は一応は我が研究室からISFJに参加するという形式ではあったが、他研究室生による発表で、実質参加は無かったと言ってよい。したがって、今年度は「1年越し」のISFJへの参加とも言えるだろう。昨年はジョイント合宿の幹事校だったこともあり仕方がなかった面があったが、やはり自分の後輩達が受け継いで参加してくれたことに、とても喜ばしい思いを抱く。
私が参加したときは、正直調査が不十分だったり、また実力が不足し、発表の内容に悔いが残る形となってしまった。なので、今回参加した3人にはそうしたことが無いように、協力し合って納得のいくものを作り上げて欲しかった。その点、彼らはとてもよく頑張ったと思う。確かに論文は締切までに十分といえるものは仕上げられなかった。しかし、それを提出後の調査によってカバーし、より熱のこもった発表を本番で行うことができたと思う。私の発表よりも、はるかに良い内容であったと実感するし、何よりも真剣に取り組む彼らの姿が素晴らしく思えた。
今回の経験から、一人一人が大きく成長したと思う。また、反省点も各々見出していることだろう。この経験を踏まえ、今後の研究室活動に励んでいって欲しい。また、今後入ってくるであろう後輩たちに、この活動をぜひ繋いでいって欲しい。ご苦労様でした!
ISFJ日本政策学生会議「政策フォーラム2008」に参加して
中村祐司(行政学研究室担当教員)
ジョイントやまちづくり提案でも同様なことはいえるだろうが、ゼミ生の何とも頼もしい成長ぶりを目の当たりにした。春から夏にかけての頃であろうか。参加を決めて手探りで勉強し始めた頃のゼミ生は、端から見ていても何だか心細いようなフラフラした感じであった。
ところが論文締め切り時期や発表当日が近づくにつれ、反比例するかのようにそのような頼りなさがなくなっていき、逞しさが増して来たのである。
発表当日のプレゼンでは、3人とも頭の中に内容をたたき込んだ上でメモを持たずに臨んだ姿は、それまでの数々のプレッシャーに逃げずに真正面から立ち向かったことを凝縮した一シーンであった。政策提言に重きを置くスタイル変更も成功した。コメンテーター2名もその迫力を直に受け止めたように見受けられた。
大学院生1名と4年生1名の応援もありがたかった。発表者に対する昼食の「差し入れ」などにみられた優しい気配りは、教員の人間性をはるかに凌ぐ行為であった。他の3年生も含め、応援のためにわざわざ在来線で東京に出てきてくれたことに、発表者は大いに励まされたはずだ。
政策研究をめぐり「全国28大学61研究会」という壮大な学生の集まりの一員として参加できたことを素直に喜びたい。「身近な素材に目を向けろ」という基調講演の内容はまさに研究室活動に対する「エール・応援歌」であった。分析のみに取り込まれるのではなく、提言を重視せよという講演者の強調も嬉しかった。
これまでの、そしてこれからの研究室活動のスタンスは間違ったものではないと確信した。教員自身のこれからの研究の方向についても重要な示唆を与えてくれた1日であった。