2000/10/17 (火) 大学院比較行政研究レジメ mk000102 上ノ段憲治
政界 @公共事業
@ A B @ A地位、政治家への転身支援
@ B政治資金、票
官僚 財界 C天下り先
C
公共事業の問題点
1、 財政赤字の問題
2、 社会資本整備における方向性の問題
3、 公共事業の管理の問題
4、 建設業界の体質の問題
5、 利権構造と汚職の問題
1)・財政投融資、補助金、地方交付税など
2)・中央省庁主導の下に策定され、閣議決定によって承認されるだけで、そこに自治体の事業が組み込まれ
各年度ごとに補助金が配分されるという集権的な運営が行われている。(武藤博己 公共事業の見直し)
↓
目的と手段がつながりを失う
↓
手段が目的となる
↓
責任の問題
3)・入札制度として指名競争入札が会計法の原則に反して用いられてきたことが業者の談合体質を助長してきた。
・地域用件が地元業者の育成という目的で正当化され、それが逆に不公正な競争を業界に押し付けてきた。
・JV(ジョイント・ベンチャー)が業者のかばい合いを助長し、より多くの業者を参加させる細切れ発注が行
われてきた。(武藤博己 公共事業の分権)
4)・元請け→下請け→孫請け といったピラミット構造。最近では、上請けも行われている。
・JAPIC(日本プロジェクト産業協会、1979年設立)
・「公共工事の前払金保証事業に関する法律」による建設保証会社(東、西日本、北海道)
@3社が独占。事業者は地域ごとに保証会社を指定される。
A建設省の天下り機関
B入札のたびにお金が入る
建設業振興助成事業という名目で寄与
自民党の政治資金団体「国民政治協会」を通して政治献金を行う
5)族議員(選挙区から票を、業界団体から政治献金を集めるために、予算の獲得に際し事業分野ごとに影響力をもつ議員
を指す。)
(公共事業の見直し)
地方分権推進委員会は、平成8年12月20日に「第1次勧告」を、平成9年7月8日に「第2次勧告」を、9月2日に「第3次勧告」
を、10月9日に「第4次勧告」を、平成10年11月19日に「第5次勧告」を、また平成12年8月8日に「意見」を内閣総理大臣へ
提出しました。
・第五次勧告
1、直轄事業等の見直しの基本的考え方
第1次勧告及び地方分権推進計画並びに中央省庁等改革基本法(以下「基本法」という。)46条1号を踏まえ、公共事業に係る国の直轄事業(以下「直轄事業」という。)及び公共事業に係る国が直接管理する公物(以下「直轄公物」という。)については、国と地方の役割分担の明確化と国の役割の重点化の観点から、また、中央省庁のスリム化にも資するように、全国的な見地から必要とされる基礎的又は広域的事業に限定し、それ以外は地方公共団体に委ねる。
この場合、直轄事業及び直轄公物の範囲について、客観的な基準などにより、明確化を図るとともに、当該基準に基づき、基本法46条1号の規定を踏まえ、中央省庁のスリム化の観点からも、その範囲の見直しを行う。
なお、北海道及び沖縄県の区域においては、その特殊事情にかんがみ、直轄事業についての特例措置が設けられているところであるので、そのあり方については、別途検討されるべきである。
・中央省庁等改革基本法
第四十六条 政府は、次に掲げる方針に従い、公共事業の見直しを行うものとする。
一 公共事業に関し、国が直接行うものは、全国的な政策及び計画の企画立案並びに全国的な見地から必要とされる基礎的又は
広域的事業の実施に限定し、その他の事業については、地方公共団体にゆだねていくことを基本とすること。
二 国が個別に補助金等を交付する事業は、国の直轄事業に関連する事業、国家的な事業に 関連する事業、先導的な施策に係る
事業、短期間に集中的に施行する必要がある事業等特に必要があるものに限定し、その他の事業に対する助成については、で
きる限り、個別の補助金等に代えて、適切な目的を付した統合的な補助金等を交付し、地方公共団体に裁量的に施行させること。
・まとめ
公共事業といってもその内容はさまざまで縦割り行政の中、各省庁がおのおのの縄張りをもって行っている。そのためいろいろな視点から
アプローチできるが、研究するにあたってまず、地方分権推進委員会の第五次勧告を熟読した。勧告では、1、直轄事業を見直す。河川、道路、
砂防、海岸、港湾、農業農村整備、治山についてそれぞれ見直す、2、直轄事業負担金を見直す、3、直轄事業および直轄公物の見直しにとも
なう財源を確保する、4、補助金を見直し、統合補助金を創設する、となった。しかし、この勧告で感じたことは、どれも抽象的でこれといっ
た具体的な措置がないことである。公共事業の見直しといっても公共事業を手放せない官僚に押し切られた感じで、妥協案になった気がする。
2001年から中央省庁再編が行われ、縦割り行政が減るが、公共事業の御三家といわれる建設省、農水省、運輸省のうち、建設省、運輸省そして
国土庁、北海道開発庁が統合することによって国土交通省という大きな組織ができる。ただでさえ公共事業予算の大部分を占めていた建設省に
さらに上乗せされ、国土交通省は公共事業予算の8割を占めるのである。たしかに統合することにより無駄な公共事業を減らすことができるかも
しれないが、一方であまりにも巨大すぎると批判もある。どちらにしろ、2001年からスタートする国土交通省は今後の公共事業をめぐって注目さ
れる省庁なのはまちがいない。そこで、行政投資率の最も多い道路は特定財源、特別会計で運営されているため、道路担当部局の独立性がもっと
も強い縦割りの仕組みが形成されており、族議員、ゼネコン等が多く関わっている分野なので興味深い。今後は、道路行政をもとにまずは財政から
入って行き公共事業を考えていきたい。
[引用・参考文献一覧]
1)五十嵐敬喜・小川明雄「公共事業をどうするか」岩波新書、1999年4月5日
2)五十嵐敬喜・小川明雄「図解 公共事業のしくみ」東洋経済新報社、2000年7月28日
3)西尾 勝「未完の分権改革」岩波書店、1999年11月10日
4)宮脇 淳「図解 財政のしくみ」東洋経済新報社、1999年11月19日
5)武藤博己「公共事業見直しの視点」『都市問題』第89巻第4号、1998年4月号
6)武藤博己「公共事業の分権」『公共事業の改革』日本行政学会No35
7)地方分権推進委員会『第5次勧告』http://www.sorifu.go.jp/council/bunken/5ji/
8)『中央省庁等改革基本法』http://www1.kantei.go.jp/gyokaku/980303houan.html