シンポジウム資料まとめ

2009/12/15

高橋清人

4回 「人と環境に優しい交通をめざす全国大会」in 東京

日時:2009125日 9時から1730

場所:東京大学本郷キャンパス

 

午前中の研究発表大会において宇都宮市のLRTを推進する市民団体「雷都レールとちぎ」のメンバー2名がそれぞれ発表を行った。タイトルは「宇都宮地区におけるバス交通の現状と課題」と「市民団体「雷都レールとちぎ」(栃木県宇都宮市)の活動報告」というものであり、タイトル通り、前者は現在の宇都宮市のバスの問題点をいくつかあげている。まず、JR宇都宮駅の西側の大通りにおけるバスの過剰供給の指摘である。また、市民団体の会員を対象としたバスに関するアンケートによると、バスの利用者の割合は低く、時間が不正確、本数が少ない、料金が高いなどの不満が上がっているという。これを解決するためにLRTが有効であるということを主張していた。

後者は、活動報告ということで今までの活動の概要や、LRTについての団体としての意見・主張を述べていた。主張の要点はLRT推進団体ということで紹介されるが、単にLRTが導入すればいいとは考えておらず、上記で述べたような宇都宮市の公共交通が抱える問題を解決するためのまちづくりに最適なものというとらえ方をするという。

また、現在のLRTの政治的問題としての捉われ方が問題であり、本質の議論がおざなりにされているという。そのような動きに対して、同団体は「政治に与しない」という態度を貫いているという。さらに、日本が表明した2020年までに温室効果ガス25%を削減する目標を持ち出し、今後は環境という意味でもLRTは重要であるという。

さらに、午後のワークショップでは、同団体の代表奥備一彦が宇都宮市の報告をおこなった。宇都宮市のLRTの経緯と現状について触れ、LRT導入が進まない要因として、民主党県連、また地方と中央の民主党の方針のねじれ、LRT反対団体LRTに反対する会の極端なLRT導入の反対意見、関東自動車の抵抗、市民の議論への参加が不十分などをあげていた。

また、パネルディスカッションでは、宇都宮市長佐藤栄一が参加し、宇都宮市が抱える課題として、工業団地の渋滞問題、道路や橋の増設では不十分や車依存型社会であること、また企業が負担する従業員のシャトルバスの負担金が多いことなどを述べていた。しかし、LRTについては明言を避けた。一方で宇都宮地区で導入が進む特定地区を走るデマンドバスや乗り合いタクシーの事例を紹介し、さらに自転車のレンタル事業の説明を行った。

このシンポジウムで確認できたのは、富山のLRT以外にはどの自治体もLRT導入がうまくいっていないということ。さらに宇都宮市はその進まない中では進んでいるほうだということ。