2007/12/11

比較政策研究

五十川雅彦

研究題目

新エネルギー政策における太陽光発電普及のための制度比較


 そもそも我々の生活において太陽エネルギーとは何なのであろうか。現在で太陽エネルギーを利用することはクリーンとかエコとかいった言葉で形容される。しかしながら、太陽エネルギーというものは長い間地球のあらゆる生物達が直接的、間接的にすでに利用してきた。植物の光合成はその根底ともいえるものである。植物は光合成を行うことによって、太陽エネルギーを化学的に澱粉として固定することができるのである。また固定とともに植物は成長していく。人間は木を燃やすことで、熱エネルギーとして太陽エネルギーを利用してきた。人間が利用してきたエネルギーというものは全て太陽エネルギーが起源なのである。つまり石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料も全て太陽エネルギーを間接的に利用しているに過ぎない。しかし太陽光を人間が直接的に利用することによって、化石燃料を消費するよりも、より少ない環境負荷でエネルギーを生み出すことができるのである。

この新たなエネルギー源を国内の経済循環の中で作り出すことができれば、資源小国といわれる日本においてエネルギー自給率の向上を図ることが可能になる。現在火力発電所では膨大な量の原油を燃焼させている。また原子力発電所からは使用済み核燃料が排出され、未だに適切な処理技術が確立されていない。太陽光発電の普及はエネルギー自給率向上の第一歩である。将来的に懸念される原油価格の高騰や安全なエネルギーの安定供給により、エネルギー安全保障の面において国際社会で優位に立つことが可能である。


日本のエネルギー政策

 日本は高度経済成長期を経てGDP を増大させると共に、エネルギー消費も大幅に伸ばしてきた。しかしエネルギー源の海外依存度は7割を超えていた。そのため、1973年のオイルクライシス以来日本のエネルギー政策は、省エネルギー技術やエネルギー源の多様化等が中心であった。新エネルギー技術の開発・実用化はサンシャイン計画の下に、資源供給量の制約やエネルギーの安定供給、環境問題への対応のために行われた1。サンシャイン計画では、太陽エネルギー、石炭のガス化・液化、地熱エネルギー、水素エネルギーを重点に技術開発が進められた。

1979年にはエネルギー省の合理化に関する法律(省エネ法)が制定され、産業部門において規制が敷かれた。オイルクライシス後のエネルギー政策によって日本の省エネルギー技術は世界でもトップレベルにまで進歩しGDP供給量当たりのエネルギー消費量は主要先進国の中でも最も低いものである2

現在のエネルギー政策(特に電力に関して)は原子力発電を基本に火力発電や揚水発電を補助的に行っている。しかしながら、一般家庭やオフィスにおけるエネルギー消費は家電製品の省エネ化が進んでいるのにも係わらず年々増加している3




参考文献

真継隆、テオドール・ダムス編 「エネルギー問題と経済政策」1983年 東洋経済新報社

山地憲治 「エネルギー・環境・経済システム論」2006年 岩波書店

片岡佑介 監訳 「ゴールデンスレッド」1985年 技報堂出版

工業技術院サンシャイン計画推進本部 「サンシャイン計画」1975年 第一法規

中村太和 「自然エネルギー戦略」2001年 自治体研究社

資源エネルギー庁編「新エネルギー導入ビジョン」1985年 通商産業調査会

田北廣道 「日欧エネルギー・環境政策の現状と展望」2004年 九州大学出版会

1 工業技術院サンシャイン計画推進本部 監修 「サンシャイン計画」1975年 第一法規

2 エネルギー白書2006年版

3 エネルギー白書2006年版 第212-2-1