比較政策研究 20071211日 呉 鳶

地域ブランド製品開発を通した地域産業振興に関する研究


国の政策・方針に基づき実行する方向

各実行主体の最大単位は県に設定する

行政面:

地域ブランド推進の組織つくり

 地域づくりであれ、ものづくりであれ、肝心なことはやはり人づくりである。今日、日本全土にブームになっている地域ブランドづくりの共通点からみると、地域ブランド戦略においてもっとも重要なのは、戦略を推進する組織つくりである。地域ブランド戦略は生産者だけでなく、その地域の行政、観光、製造業(食品加工業など)、流通関係者などが協力しあって行うものである。ブランド戦略のステークホルダー(Stake-holder)には、農作物、加工食品、伝統芸術品だけにとらわれずに、その地域全体を管理・推進する視点が求められる。地域全体を見渡せる広い視野と、県外への情報発信を行う必要がある。


2評価指標作り

地域全体に消費者視点による評価指標の作成を取り組むべきである。ブランドとは「消費者からの評価」だから、作付面積や売り上げなどの評価指標とは別に、「消費者からどのように評価されているか」という指標を作ることが重要なのである。例えば、購入した人の満足度や、再購入意向など。あるいは一般消費者による認知度やイメージ、購入意欲などがある。そしてこれらの指標が、毎年ちゃんと向上するかをチェックする必要がある。仮に「購入した人の満足度」を評価指標とした場合、まずはその満足度の測定方法を考える。手軽にやるのではなく、信頼性が高く、継続性のある手法を選ぶ。信頼性が足りないと、ブランド戦略の成果が評価できないからである。(コストの面にも配慮する必要がある)


3全国通用のロゴ、マーク作り

地域が目指すブランドイメージの方向性を明確にする。地域産品のブランド化を考える上で、ブランドの管理業務も重要である。名称やマークなどの商標権を押さえておくこと、ブランドの質を低下させないための基準を決める必要がある。

LOGO Eマーク1 2

1

平成193月まで、栃木県の19品目を含む全国20都道府県で380品目の食品がEマーク食品として認証されている。3 

産品品目によって各認定基準を作る。


4ブランドイメージの情報発信

地域ブランドプレミアムを作る主体は生産者である。この作った産品のブランド魅力を「いかに外の世界へ発信することは行政側の仕事である。アンテナショップの出店、テレビCM、専用ホームページなど様々な情報発信方法を使って、大都市、他の地域に自己PRの作戦を展開する。地域産品のブランド化の実現によって、地域イメージアップという目標も達成できると考えられる。

以上4つのポイントに基づいて行政機関向けの調査項目を作る。行政側は「実際に地域ブランドづくりにそれなりの工夫をしているか」を確かめることより、「どのような工夫をしているか」、「何か特別な取り組みを行っているか」を明らかにしたい。それに、実際に行われているブランド育成事業の実績について効果がある・効果がない事例を教えてもらいたい。得られた情報に基づき、各生産現場(企業)及び関連組合に実態調査を行う。



参考資料

田中章雄(2004820056地域ブランド構築法 月刊『農業経営者』,農業技術通信社

2 岡田知弘・川瀬光義・鈴木誠・富樫幸一(2007)国際時代の地域経済学[第3版]有斐閣

3 田中利彦(1996)テクノポリスと地域経済 晃洋書房

4 下平尾勲 (2002) 構造改革下の地域振興 ―まちおこしと地場産業 藤原書店

5 金子勝(2003)日本型インナーシティ問題―地域経済の崩壊と分権化の課題『都市問題』東京市政調査会

1 Eマーク食品

特別表示認証食品とはとちぎの豊かな自然の中で生産された農畜産物を原料に県内の食品加工業者がこだわりをもって加工した優れた食品(地域特産品)を対象に、栃木県が品質や表示について基準を定め、それに適合するものに認証マーク(Eマーク)を貼付することを許可した食品である。

認証対象品に付する認証マークは、全国統一ロゴ(Eマーク)を基に、とちぎの豊かな自然環境や肥沃な大地をイメージボル化したものである。

2図案化された統一ロゴの3つのEは、優れた品質(Excellent Quality)正確な表示( Exact Quality)地球環境との調和(Harmony with Ecology)を表している。出典:栃木県庁ホームページ農業生産流通 http://www.pref.tochigi.jp/work/nougyou/seisan-ryuutsuu/e-mark.html


3 http://www.shokusan.or.jp/furusato/e_mark/ Eマーク食品情報