中国4大銀行の不良債権に関する研究
王宝玉
2007年11月13日
1.研究背景
中国の四大銀行(中国銀行、中国農業銀行、中国工商銀行、中国建設銀行)の資産総額、貸出総額、預金総額いずれも銀行業の合計で全体の6割強を占めている。中国銀行業はWTO に加盟のときの合意を履行し、2006年11月30日に人民元の業務は全部開放された。中国政府は四大銀行の競争力を高めるために、一連な銀行改革を行っていた。1998年に2700億元(約4兆円)の公的資金を投入し自己資産の充実を図った。1999には4行で合計1兆4000億元(約21兆)の不良債権を分離した。分離の方法は4行それぞれが別個の資産管理会社を作り、そこに1995年7月以前に実行した貸し出しで不良債権化したものを簿価で買い取らせたのである。政府は公的な資産を注入し、四大銀行を株式会社に転換させ、国が各銀行の大株主となっている。また、中国建設銀行、中国銀行、中国工商銀行を相次いで中国の香港と上海の株市場に上場させた。高い不良債権率を持つ中国農業銀行を将来の株式上場するため、改革に取り込んでいる。
2.研究目的
本研究は中国の4大銀行の業務内容、不良債権の構成に着目し、2003年から2007年の各銀行の年報報告書に基づいて、四大銀行の不良債権の構成の共通点と相違点を分析、比較する。また、各四大銀行の中心業務と不良債権の関連性を分析し、四大銀行の不良債権の発生した原因を明らかにし、各銀行の業務の改善と発展が銀行の不良債権の減少に与えた影響を分析する。
3.研究方法
既往研究として、多くの研究者では四大銀行を総体として不良債権の共通点の原因を分析し、政府の関与、銀行の所有権、銀行の経営管理体制の不健全および国有企業の経営状況などの原因を挙げられた。特に、四大銀行の所有権問題は不良債権の発生した最大の原因であると多くの研究者に指摘された。各銀行の業務と不良債権の関連性を分析する研究はほとんど見当たらない状況にある。2003〜2006年の各銀行の年報報告書から見ると、政府が支配権を持つ4大銀行の不良債権率が著しく低下している。2006年末に、中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行の不良債権率は3.79%、4.04%、3.29%、23.43%となった。不良債権率が最も低い銀行は建設銀行であり、最も高いのは農業銀行である。各銀行の不良債権の減少と各自の業務の改善と発展との関連があると考えられる。即ち、銀行の不良債権の発生した原因と各銀行の業務と関連すると考えられる。本研究では、銀行の収益性、健全性から、2003〜2007年の各銀行の年報報告書によって、バランスシート、利潤表、現金流動表を分析する。具体的の分析方法を下のように述べる。
@株式銀行の株主の構成(銀行の所有権を示す)
A収益性について
四大銀行の5年間の(総資産利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)、金利収益比率、非金利収益比率、純利益)などを分析、比較する。
B健全性について
四大銀行五年間の総資産額、自己資産比率(中核資産比率)、不良債権、不良債権率、保全率などを変化について分析、比較する。
4.期待される結果
上述の分析のように、銀行の業務を改善するとともに、銀行の不良債権が低下することができる。即ち、銀行の業務の改善と発展は銀行の不良債権を低下する重要な方法である。
参考文献:
1.柳川範 不良債権って何だろう? 2002 東洋経済新報社
2.野口能孝 中国金融崩壊 2003 かんき出版
3.周駿 張中華 宋清華 銀行創新与資本市場 2006 中国金融出版社
4.張海寧 銀行反対銀行 2004 清華大学出版社