栃木県内の国際交流協会の動向

比較政策研究

科目等履修生

大嶋久美子

1 栃木県内の国際交流協会の概要

  栃木県には多様な国際交流団体があるが、その中で行政主導で設立された国際交流協会は、49市町村のうち18の市町村で設立され、運営されている。これらの国際交流協会の成立過程や設立の運営を比較検討することによって県内の交流協会の実情を探る事とする。

1)設立目的

栃木県内の国際交流協会の設立は、最も早い真岡市国際交流協会が1987年に設立され、ついで上三川町、大田原市、氏家町、烏山町と順次設立されていった。1990年代に多くの自治体で設立された。

設立の目的は、殆どの自治体で「相互理解」と「友好親善」を上げている。国際理解、世界平和から市民相互の親善、まちづくりを上げている自治体もある。これらの目的の遂行のために多くの自治体が、姉妹都市を結び、姉妹都市の相互交流を市民主導で行おうという目的であったと推察される。

 

2)       代表者

国際交流協会の代表者は首長がなっている場合も多く、10の自治体で首長が代表者となり、8の自治体で民間人が代表を努めている。市民主導とはいいながら、事務局も殆ど、教育委員会や総務或いは市民生活、企画財政などに事務局が置かれ、市の職員によって、事務一般が執り行われている。大田原国際交流協会のように民間主導で行われている所は少ない。

 

3)       会費及び会員

会員は殆どが個人会員と、法人あるいは団体会員に分けられ、個人会費は500円から4,000円の範囲で大よそ3,000円で、団体及び法人会員がほぼ10.000円である。

家族会費としている自治体もある。しかし、概ね財政基盤は弱く、殆どの自治体が補助金として上乗せしている。今市市でも約650万円の補助金を出し、会費の約3倍の補助を得ている。

 

4)おもな活動内容

活動としては殆どの自治体で広報誌を発行し、姉妹都市交流が行われている。姉妹都市交流は様々な形態を取り、少人数の訪問から、学生のホームステイ、親善大使、市民のホームステイ、専門職交流と多彩である。

その他、国際理解に関する料理教室、講演会、外国語講座、ワールドフェスティバル等が開催されている。サマーキャンプや各種パーティーなど楽しめる工夫もなされている。

また、近年日本語教室が開かれる所が多くなり、それに伴ってボランティア育成のための講座も開催されている。

これら、交際交流に関する事業は地域の実情や創意工夫によって、楽しみながら多くのボランティアによって支えられていると考えられる。

今後活動の方向としては、市町村合併が実現し、大きな自治体になるならば、財源を確保し、事業展開をしながらいろんなノウハウを身に付け、NPOのような組織として自主運営することも可能ではないかと思われる。