現代政治の理論と実際

日本の国家財政は今後どうなる?

工学部電気電子工学科1年 002345A 佐藤 信太郎

  1. 調査の動機

最近、ある人からこんな話を聞かされた。それは、「今年度末に日本の借金は645兆円に達する。そして、このまま行けば、2006年には1000兆円になり、日本経済が破綻する。」

645兆円。とてつもない額ではあるが、実感がわかない額でもある。わかりやすく言うと、1分あたり2044万円の金利がつく、一人当たり516万円(生まれたばかりの赤ん坊から死ぬ間際のお年寄りまでが対象。)の借金をしているのである。

これは尋常な額ではない。国家予算の8倍以上にもなる。返すとなると並大抵の努力では返せない。そこで、この莫大な借金を返すには、どのような策をすべきかということを調べ、そして考えてみた。

2.現在の国家財政の状況

日本国民が背負わされた借金の額(参考ページ:http://www.infosnow.ne.jp/ishin/zaisei.html

項目

借金の額

国債

241兆円

うち赤字国債80兆円

金融・債券評価損失

100兆円

政策などの失敗による

国鉄長期債務

28兆円

うち20兆円が国民負担か?

地方債・借入残高

140兆円

隠れ国債

41兆円

国民年金・地方財政拠出金繰越など

合計

550兆円

国民一人当り

440万円

注)これは1996年度の数値であるため、2000年度は各々の額が更に大きくなる。

上の表を見てみると、確かに国債は多いのだが、国債以外の借金が170兆円にもなるということ、そして、国民1人当たり440万円の借金を背負っているという事が印象に残った。

3.財政赤字の原因

果たして、これらの莫大な借金はどうして出来てしまったのか、その原因について調べ、考えてみた。

@)公共事業について

日本共産党の意見(参照:http://www.jcp.or.jp/

「国の借金の累積、 財政赤字の最大の原因は、巨額の公共投資によるものです。」

産経新聞の意見(参照:http://www.sankei.co.jp/)

公共事業費のコストが欧米に比べて三割も高い。そして、その事が国民生活を圧迫している原因なのではないか。」

平成維新を考える道民の会の意見(日本の国の財政http://www.infosnow.ne.jp/ishin/zaisei.html)

「政治家に予算検討能力が無いので、官僚(行政・省庁)中心の予算編成が横行し、無駄な公共投資が止めどなく続けられている。」

政治家が地元の利益誘導を繰り返し、赤字国債解消の妨げとなった。

テレビなどを見ていると、これらの事が間接的に大問題になっていることがある。

僕が最も納得したのが、「政治家が地元の〜」である。この事を僕なりに解釈してみた。

政治家(国会議員)に当選すると、憲法で定められた、歳費という大金を貰う。これによって政治家は裕福になる。しかし、国会議員には任期というのがあって、最長でも6年(参議院議員)であるので、長続きしない。しかし、大金を貰える仕事であるゆえ、再選したいと思うことは当然のことである。そこで、次期選挙に当選するために、地元の貢献して、票を得るために必要な人気を得ようとする。地元に貢献とはどういう事か。それが今問題になっている公共事業なのである。地元の公共事業が推進されれば、それによって地元の施工業者や住民が、経済効果となって恩恵を受ける。そして、次期選挙にはその人に投票する人が多くなるので、再当選が出来る。そこで使われるのが国民の税金であり、借金の原因となるものである。

これらのことは平然と行われている。納税者はこの事実を見てどう思うかは分からないが、、僕の考えからすると、買収よりひどいと思う。確かに、票を金で買うことは悪いことだ、しかしそのお金はあくまでも自分のお金である。しかし、例の場合、お金は自分のものではなく、国民の税金から出ているのである。

この様に考えていると、今の政治家は非常に心が腐っている。ある人は言う。「日本の政治家は政治家の振りをした政治屋と政治業者しかいない。」この言葉は前の文を読めば納得していただけるだろう。

自分の知識からもう一挙げておくと、旧国鉄の長期債務も政治家が生み出した借金である。というのは、国鉄が赤字になったのは東海道新幹線建設時だが、それよりも問題なのは、田中角栄が創設した日本鉄道建設公団である。というのは、日本鉄道建設公団は政治家独自の考えで路線を建設でき、国鉄に強制的に買い取らせることが出来たので、採算を度外視した路線が数多く作られ、それが赤字となって、国鉄の財政事情を苦しめ、その結果国鉄は倒産した。その債務はJRと国民が負担することになるが、いずれにしろ国民にツケを回すのである。

地方自治体の公共事業について言うと、国と同じ様なものであるが、自治体は公共事業費の一部を国家予算から分け与えられる。ただ、そうすると予算が余る事がある。もし、予算が余るようなことがあれば、来年度、国から分け与えられる額は減ってしまう。地方も考えは国家とほぼ同じであり、景気対策に多くの公共事業で対処するのに困ってしまう。だから、国から貰った予算は、例え借金していても使い切る。と言うことが一般化しており、三月に工事がやたらと多いのはこの為である。

A)外交関係について

今の日本は国防の大部分をアメリカに任せている。自分の国の国防を他国に任せることは本来なら独立国としてありえないことだが、憲法で戦力の不保持が定められているため、このようになってしまう。しかし、そのためにアメリカに主導権を握られてしまった。故に、アメリカに言われるまま10年で430兆円の公共投資をしたり、在日米軍に対しての思いやり予算を支出したりしている。その額は年々上昇しているので、国家財政を危うくしているのである。(参考:平成維新を考える道民の会日本の国の財政 アドレス:http://www.infosnow.ne.jp/ishin/zaisei.html)

アメリカばかりではない。日本は中国に総額6兆円もの多額の援助を行っている。それは援助目的であるが、戦後賠償と言う意味も含めてである。しかも、その用途を日本人は殆ど知らない。一部の人に、核開発に使われているのではないかとさえ言われているぐらいだ。そして、北朝鮮も中国と同様な手で援助を求めてきた。このように、世界各国の言いなりになっていると、いくらお金があっても足りるわけがない。

B)税制について

はっきり言って日本の税制は不均衡である。特に宗教法人や医療法人への優遇はどう見てもおかしい。何故なら、医療法人も宗教法人も市場経済とは全く無関係で、かつ需要はほぼ安定していて、不景気でも生活が困らないのである。

宗教法人を見てみると、どこも贅沢である。そのことは、建物を見れば一目瞭然である。新興宗教は、大したことしていないのに数百万から数千万の大金を請求する。それも、人の弱みにつけこんで。そのお金で傲慢な生活を上の方ではしている。

伝統宗教も同様である。京都や奈良などを見れば分かるとおり、有名な寺や神社は見に行くだけでお金を取られる。修学旅行などで沢山の観光客を受け入れる所の収入は莫大なものである。又、人が死んだとき葬式をするのだが、その葬式で最低でも五十万のお金を取られる。これはまさに人の弱みにつけこんだものであろう。宗教法人は殆どが金稼ぎに走っている。税金を取られないことを利用して。どのような理由でそうなったのか分からないが、その理由に合致しているところは恐らく日本に約十八万ある宗教団体のうちの一つ二つ在るかどうかであろう。ただ、僕は金もうけをしない団体を一つだけ知っているのだが…。

4.財政赤字解消の為にはどの様な努力が必要か。

財政赤字は何としても解消しなければならない。そうしないと、日本は国際的な信用を失い、滅亡しかねないからである。ただ、上の文を見て分かるように、国家財政を危うくしてあるのは一部の人間だけである。そこでそれらの人間にどの様な対策を取らせるべきかと言うことを考えてみた。

@)政治家

政治家にまずしてもらいたいことは、歳費の大幅削減である。僕から見て政治家程儲かる仕事は無いのではないか。だから、歳費もその仕事に応じて決めるべきである。更に、議員特権も見直してもらいたい。同じ人間なのに政治家とそうでない人の差がありすぎる。当然政党助成金も廃止すべきである。政治資金は一人一人の議員の歳費の一部を集めれば、党の財政は問題無いはずである。

例えば、現在の衆・参両議員の平均歳費は約2100万円である。月々にして175万円もの大金を貰っていることになる。これを120万から150万くらいに下げても、議員は生活に困ることはないはず。もちろん実施するには徐々にである。これで歳費は一人当たり1440万〜1800万であり、仮に1500万とすると、約44億円の余裕ができる。それに政党助成金の廃止を行えば、余裕は更に増える。

A)公共事業

今の不況の世の中に於いて、公共事業は重要だと言われるが、その公共事業はあまり景気対策になっていないようである。と言うのは、需要と供給のバランスの取れていない事業が多いからである。故に、全ての公共事業を、本当に必要かどうか検討し、もし必要無ければ即中止という方向で行うのはどうか。ただ、よく言われるのは、「途中で中止にすると、今までその事業にかけてきた予算が無駄になる。だから中止に出来ない。」と言うことである。

この事について言うと、場合によって異なるが、整備新幹線や高速道路など、完成後に利用者から料金を徴収するものの場合、採算が採れる見込みの有るものに限って中止しなくてよい。逆に、採算が採れそうも無い時は中止すべきである。その他の、干拓や、治水など、完成しても利用に料金を賭けないものは、本当に必要かどうか定期的に検討し、もし必要ならば中止しなくてよいが、必要なければ即刻中止すべきである。要は、公共事業が、果たして住民にとって必要なものなのか。また、その事が第三者の負担にならないかということを考えてもらいたいと言うことである。

B)国際関係

国際関係の場合、まずは、予算編成においてアメリカの命令に従わないことが重要である。日本のお金の使い方ををどうして外国が指示できるのか。アメリカは確かに強いが、だからと言ってやって良い範囲はあるわけである。人のお金を自分のいいように使うのは泥棒と同じである。たとえそれが強くてもである。

また、今の日本は援助する余裕がないはずなのに、多額の援助をしている。しかも、その目的は、援助の必要性があるかどうか分からないような場合が多いのである。だから、援助は極力しない方が良い。特に、中国や北朝鮮のように軍事力を強化しているような所はなおさらである。

C)不公平税制の是正

日本の税制が不均衡であることは前にも書いた。だから、税制はどのように変えれば良いかを考えてみた。

基本的に、所得税・法人税は増税、消費税は減税もしくは廃止が良いと思う。

所得税は、非課税の低所得者層からも、僅かで良いから税金を取るべきである。結構比率が高いので、わずかな徴収でも貯まればかなりの金額になる。また、農家や自営業者は、収入を把握しにくい故に、脱税などをしやすいので、これを厳しく監視した方が良い。脱税した場合は、数倍の追徴課税をすべきである。これで脱税者が減るわけないが、収入は増大する場合が多いはず。

法人税は、所得税や相続税と同様に、累進課税制にするのが良いと思う。そうすれば、収入の伸びなかった企業は、お金を取られないぶん、翌年の経営対策につぎ込むことができるので、経営を悪化させずに済む。逆に、沢山の利益を出した時には、それなりの税金を徴収して、独占を防止したり、国家財政に貢献させることができるという風にした方が良いと思う。また、これは、宗教法人でも医療法人でも同様なことをすべきである。そうしないと、企業が課税を逃れるために宗教法人化してしまう。

5.借金返済は果たした可能か

今までは、借金を返す方法があるかについて述べてきたが、果たしてそのような対策で返済できるのかを調べてみた。

名古屋市立大学経済学部の跡田直澄助教授によると、2020年までに国債残高は、大増税(税率28%78%)をして現状維持、歳出の大幅削減(中央省庁の216への統廃合と、国立大学、国立病院の私立化と、それに伴う国家公務員の半減)100兆円の返済が可能としている。

参考ページ(平成維新を考える道民の会・国の財政事情http://www.infosnow.ne.jp/ishin/zaisei.html)ただ、この案では、国立大学の私立化という、お金を持たざる人には有り難くないことがある。だから、僕の出した案を実現すれば、残高は減るのではないか。ただ、重要な事は、この借金を後世に残してはならないということである。返済を後回しにすればする程、事態は悪化する。先ずはそれを避けることが重要である。そうすれば、将来は借金で苦しむ事はあるまい。

ただ、対策が、国民が行うものではなく、金欲の強いものが行うものだから難航すると思われる。では、国民はどうしたら良いか。それは、もっと政治に関心を持って欲しいと言うこと。そして、政治を厳しい目で見ること。このことが重要だと思う。

6.まとめ

以上を調べた結果、国の借金は国民が作っているのではないのにも関わらず、その責任を負わされているという現状である。しかし、国民はまるで他人事みたいに見ている。しかし、事実を知ることによって、政治への関心は深まり、国を変える原動力となる。だから、最初にすべきことは、現状を知るということである。このレポートを見て、現状を理解して頂ければ幸いであると思っている。