介護保険制度とそのサービスについて

  

1、はじめに

これからは高齢化社会だといわれるが、20004月から介護保険制度が施行された。高齢化の進展で、寝たきり、痴ほう

者は2010年までには390万人、2025年までには520万人にまで増えると推定されている。また、85歳以上の4人に一人

が要介護状態であり、介護を受けるものに対し憎しみを感じたことがある者は3人に1人、虐待をしたことがある介護者は2

人に1人であうという世論調査もでている。実際に介護疲れから、痴ほうのお年よりに手をかけるというような痛ましい事件も起

こっている。人間はだれもが年をとっていき、いずれは自分も介護保険にお世話になる時がくるかも知れないわけだが、介護

保険についてほとんど何も知らなかった。こんな理由から介護保険とそのサービスについて調べてみようと思った。

 

2、介護保険制度創設のねらい

・老後の最大の不安要因である介護を社会全体で支えるしくみを創設。

・社会保険方式により給付と負担の関係を明確にし、国民の理解を得られやすい仕組みを創設。

利用者の選択により、多様な主体から保険医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる仕組みを創設。

・介護を医療保険から切り離し、社会的入院解消の条件整備を図るなど、社会保障構造改革の第一歩となる制度を創設。

                                                        (厚生省全国課長会議資料より)

 

3、保険事業を行う主体

市町村と特別区で、この他に市町村が広域連合等を作り、共同設置する方法もある。

 

4、保険に加入する人、給付を受ける人の2タイプとその保険料

〇第一号被保険者

65歳以上の者で、住所がある者。介護が必要となった原因を問わない。

保険料は老齢年金等からの天引き。

〇第二号被保険者

40歳〜64の者で住所があり、医療保険に加入している者。厚生省で定める特定の疾病(初期痴ほう、脳血管障害等限定)

を原因としてなった者だけを対象とする。

医療保険者が保険料とあわせて徴収。支払い基金からの配分に従い介護保険者に交付扶養家族には負担はない。

 

給付が受けられるのは申請をして認定を受けた者。保険では「要支援」と「要介護」5段階あわせて6ランクを認定し、給付水

準の設定も行われる。また、第二号被保険者の場合、事故など別な理由によるような介護状態は対象外となります。

 

〇要介護高齢者

身体上又は精神上の障害があるため、入浴、排泄、食事等の日常生活について全部又は一部について、一定期間にわたり

継続して常時介護を必要と認められる状態で、要介護認定を受けた人。

〇要支援高齢者

身体上又は精神上の障害があるため、一定期間継続して日常生活を営むのに、支障かあると見込まれる状態で、介護を必要

とするほどの状態でない者。

 

5、利用者の負担額

在宅サービスの場合                        〇入所施設サービスの場合

保険給付額の10                           保険給付額の10+食費の基本額分+日常生活費 

 

親が特別養護老人ホームに入所した場合、扶養者となっている平均的サラリーマンが負担する額は月額56万程度と

なっているようです。また、低所得者層に関しては、各自治体により保険料減免制度を設けているようだ。

 

6、サービスの種類と利用の仕組み

〇在宅サービス

1 訪問看護(ホームヘルプサービス)

2 訪問入浴介護(訪問入浴サービス)

3 訪問看護

4 訪問リハビリテーション

5 通所介護(デイサービス)

6 通所リハビリテーション

7 福祉用具貸与

8 居宅療養管理指導

9 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)

10 短期入所生活介護(ショートステイ)

11 痴ほう対応型共同生活介護(痴呆性グループホーム)

12 特定施設入所介護(有料老人ホーム、ケアハウス等利用者への介護)

 

〇施設サービス

1        指定介護老人福祉施設(介護保険の指定を受けた特別養護老人ホーム)

2        介護老人保険施設(老人保険施設)

3        指定介護療養型医療施設(療養型病床群、老人痴ほう疾患療養病院等で指定を受けたもの。介護力強化病院は施行後3年間のみ。)

 

〇市町村特別給付

  介護保険の給付に市町村が上乗せ、横流しのサービスを付加

 

〇保険福祉事業

  介護をしている家族に対する介護方法の研修事業、介護保険のりようのための貸付事業等

 

○利用の仕組み

被保険者資格の取得

保険事故の発生

要介護認定の申請

保険者(区市町村)

   調査、介護認定審査会(一次判定、二次判定)

決定通知(30日以内) →不服の場合、介護認定審査会へ

    ↓

    ケアプラン作成

    ↓

    サービス提供機関(民間企業や社会福祉法人、など)

 

6、まとめ(介護保険の問題点など)

介護保険は在宅介護を基本原則にしているが、ヘルパーの数や、施設の数などがまだ少なく、現状では、家族が犠牲にならずに在宅で介護するのは難しいようだ。療養型病症群(慢性の病気などで、長期入院が必要の人のため、介護に力を入れた

病院)でも、その多くは医療保険しか使えず、また同じ病院のなかでも医療保険対応と介護保険対応のベットが混在する所もあり、そういう所同じサービスを受けても、使う保険によって料金が異なったりする。また病院に入院を申しこんでも、何ヶ月も待たされることが普通のようで、受け入れ先を見つけるのも容易ではないようだ。相談窓口などもまだ一元化されていないようだが、相談したい場合には在宅介護支援センターに問い合わせれば、施設や病院、在宅介護サービスの情報はある程度得られる様だ。これからもっと高齢者の数は増えていくけれども、それに間に合うように施設やもっと充実したサービスなどができていってくれればいいと思う。

介護保険サービスをめぐるトラブル多発

介護保険のサービスを、障害の重さを理由に断られたり、逆に押し売りされたりする悪質な事例が表面化し始めている。心身の衰えた高齢者の契約をめぐるトラブルの発生は予測されていたが、それが全国的な規模で初めて裏付けされた形になっている。

   介護サービスの相談内訳(国民生活センター地方自治体の消費生活センターに寄せられた210件の内訳)

介護サービスの質  42

解約・施設退去    31

介護事故        23

事業者の選び方   18

販売方法・会員契約 17

サービス計画変更など  13

契約拒否        10

その他          10

国民生活センターでは、介護保険制度は、利用者が業者やサービスを選択できると言われるが、実際には情報も少なく、交渉力も弱いことが相談に現れている、としている。(朝日新聞2000・11・7)

また、この記事にあるように民間業者が介入することによって、いろいろなトラブルがおこっている。業者が利益をあげようとするのはしょうがない事だが、もっとサービスを利用する側の立場にたって欲しいと思う。やはりそのためには、サービス業者とサービス利用者の間の何らかの法律ができればいいと思う。

介護保険はまだできたばかりで整理されていない。保険料に関する事や、自治体によって、サービスに格差があったりと、問題もいろいろあるが、今後少しずつ良くなっていって欲しい。そのためには、他人任せというような考えは捨てて、自分自身で、介護保険の問題について、積極的に考えていかなければいけないと感じた。

   

 

参考ホームページ

介護保険制度について  http://www.mhw.go.jp/topics/kaigo99-4

高齢者介護情報センタ− http://assist.oc.to/kaigo/indexhtml

東京都介護サービス情報 http://www.kaigohoken.metro.tokyo.jp/rakuraku/1/1.acp