「地方自治体における広域行政と市町村合併」

「住民の視点から考える市町村合併〜栃木県内の事例を参照にして〜」

 

T、国における市町村合併推進の根拠

U、栃木県における市町村合併

1、栃木市・小山市合併協議会の推移と現状

2、4市町ステップアップ研究会の推移と現状

3、考察

V、市町村合併のあり方とは

 

T、国における市町村合併推進の根拠

市町村合併が求められる理由

     地方分権の推進・・・行財政基盤の強化が求められている

     高齢化への対応・・・財政的な負担や高齢者を支えるマンパワーの確保が課題となっている

     多様化する住民ニーズへの対応・・・専門的・高度な能力を有する職員の育成・確保が求められている

     生活圏の広域化への対応・・・行政の広域的な対応が必要、より広い観点からの一体的なまちづくりが求められている

     効率性の向上・・・より効率的な行政運営が求められている

 

合併のメリット

     福祉サービスの安定的な供給ができ、充実を図れる

     専門的・高度な能力を持つ職員の確保・育成により、行政サービスが向上する

     公共施設の広範な利用が可能になる

     広域的な視点から、効率的な道路・市街地・施設整備、一体的なまちづくりを進められる 

     大型プロジェクトが可能になる

     行政経費が節約され、少ない経費でより高い水準の行政サービスが可能になる

     地域のイメージアップにつながる

 

合併特例法に基づいた支援策(2005331日までの時限法)

     合併後のまちづくりのための財政措置

     合併後の財源の保障

     議員の定数・任期の特例

 

U、栃木県における市町村合併

1、栃木市・小山市合併協議会の推移と現状

小山青年会議所の合併理由

     国は大きな財政赤字を抱えており、さらに今後は超高齢化に伴う医療費の増大、少子化による税収の減少が予測され更なる財政赤字、財政危機が深刻になっていく事が予測される

     権限や財源について全く自立出来ていない地方自治体の現状

     これからの「地域の生き残り」がかかっている地方分権時代の到来

→人口30万人以上の中核都市を形成する必要性

 

栃木市・小山市における市町村合併の進展状況

年月

 

19977

合併協議会設置請求書が小山市に提出

19979

小山市は合併協議会設置請求を受理

栃木市に合併協議会設置協議について栃木市議会に付議するか否かについて意見照会

199712

栃木市長から小山市長へ合併協議会設置協議について、栃木市議会に付議する旨の回答がある

19983

合併協議会を設置することについて、小山市と栃木市の市議会定例会において議決

19987

第一回栃木市・小山市合併協議会開催

(会議運営要領の制定、会議資料等文書取り扱い要領の制定、運営について)

199810

第二回栃木市・小山市合併協議会開催

(栃木市と小山市の現状、地方制度調査会答申による市町村合併に係わるメリット・デメリット等の協議)

1999年2月

第三回栃木市・小山市合併協議会開催

(栃木市と小山市の現状について類似団体比較)

19996

第四回栃木市・小山市合併協議会開催

(協議会特集号の広報誌掲載、栃木市・小山市合併に関する市民アンケート調査の決定)

19998

栃木市・小山市合併に関する市民アンケート調査を実施

199911

第五回栃木市・小山市合併協議会開催

(栃木市・小山市合併に関する市民アンケート調査結果、栃木市・小山市合併に関する市民アンケート調査結果の広報誌掲載を決定)

20006

第六回栃木市・小山市合併協議会開催

(栃木市・小山市合併協議会の今後の進むべき方向について協議し、それぞれの広域圏の合併を検討すべきとして、広域合併の方向性が出るまで当分の間一時中断を決定)

「栃木市・小山市合併に関する市民アンケート調査」

1999810日実施

・両市民1500人が調査対象

・回収率それぞれ37.46(回収件数:1124)

 

「栃木市と小山市の合併についてどのように考えていますか?」

 

栃木市(562人)

小山市(562人)

合計(1,124人)

合併することが望ましい

84人(14.9%)

103人(18.3%)

187人(16.6%)

どちらかというと合併することが望ましい

94人(16.7%)

74人(13.2%)

168人(14.9%)

合併することは望ましくない

86人(15.3%)

81人(14.4%)

167人(14.9%)

どちらかというと合併することは望ましくない

97人(17.3%)

114人(20.3%)

211人(18.8%)

広域圏の市町村との問題処理が前提である

99人(17.6%)

77人(13.7%)

176人(15.7%)

わからない

84人(14.9%)

106人(18.8%)

190人(16.9%)

その他

8人(1.5%)

6人(1.1%)

14人(1.2%)

無回答

10人(1.8%)

1人(0.2%)

11人(1.0%)

 

前述の質問の両市民合計部分を円グラフにまとめたもの

アンケート調査から言えること

・アンケート調査自体の回収率(37.46)が悪い

・合併賛成派(合併することが望ましい」、「どちらかというと合併することが望ましい」)と反対派(合併することは望ましくない」、「どちらかというと合併することは望ましくない」)の回答率が両市民合計で考えると賛成派/反対派(31.5%/33.7%)と拮抗しており、なおかつ「広域圏の市町村との問題処理が前提である」という回答も15%あまり占めている。

 

広域圏の市町村との問題処理が前提である」

→栃木県庁HPの「一部事務組合及び協議会の設置状況」

・栃木市は大平町、都賀町、岩舟町、藤岡町、西方町と広域市町村圏[1]を形成

→栃木地区広域行政事務組合等を運営

 

・小山市は南河内町、国分寺町、野木町と広域市町村圏を形成

→小山広域保健衛生組合や小山地区広域行政推進協議会等を運営

 

=両市民の間でも栃木市・小山市それぞれと合併するよりもまず周辺の町との合併を先にすべきと考えている人もいるのではないか。

 

2、4市町ステップアップ研究会の推移と現状

20016月設置

構成市町村:黒磯市、那須町、西那須野町、塩原町→構成市町の担当職員が中心となって研究

設置目的

「構成市町の合併をも視野に入れた将来像を研究し、その果実を構成市町の住民に広く明らかにし、13町域の将来像に関する世論を喚起することをもって、構成市町が共にステップアップすること」

 ・行政的な共通性

 ・地域的な共通性

 ・国会等移転

 

4市町ステップアップ研究会」の進展状況

年月

 

20015

黒磯市、那須町、西那須野町、塩原町の13町でまちづくり合同勉強会発足

20016

第1回ステップアップ研究会

(勉強会をステップアップ研究会に改組・研究会設置理由について検討)

20017

2回ステップアップ研究会

(4市町ステップアップ研究会」へと正式に改組、設置要綱策定、今後の進め方について協議)

 

黒磯市広報にて研究会の設置・理由について住民に告知(以降他町でも合併関連の様々な情報を広報を通じて住民に提供)

20018

3回ステップアップ研究会

(視察、チラシ作成、講演会開催について協議)

 

黒磯市、市町村合併関係黒磯市民アンケート調査票発送

(2000件発送、回収率:81/回収件数:1614)

20019

那須町にて合併に関する講演会開催

今後の活動方針

・月一度研究会を実施

・合併に関する情報に対して広報や講演会を通じ住民に周知

・各市町で異なる行政手続きの問題(例えば、ゴミの収集方法の違いや手続き料金の違い等)を話し合う部門別のワーキンググループを発足

 

→研究会は「合併ありき」を前提としていない

黒磯市長

・合併は住民主体で判断すべきである

・行政には住民が合併の必要性について判断する情報を提供する責務がある

・合併には人口規模とともに面積、地形、歴史性、自然環境、交通網等の合併後の一体感の醸成に必要不可欠な要素がある

・合併特例法の適用を受ける合併を進めるためには、200212月までに、関係市町村の意向が明確に示されることが必要である

 

V、市町村合併のあり方とは

 

参考文献及び資料

「社団法人小山青年会議所創立30周年記念誌」()小山青年会議所30周年委員会(19996)

「栃木市・小山市合併協議会に関わる経過」小山市役所

「広報小山199911月号」小山市(199911)

「一部事務組合及び協議会の設置状況」栃木県総務部地方課(2000年4月)

「市町村合併に関する調査事項」黒磯市

4市町ステップアップ研究会の設置理由」黒磯市

「市町村合併 新たな地域づくりへのチャレンジ」栃木県総務部地方課

「栃木県市町村合併推進要綱」栃木県総務部地方課(20011)

 

参考HP

総務省HP http://www.soumu.go.jp/

栃木県庁HP http://www.pref.tochigi.jp/



[1] 広域市町村圏

 広域行政の手法の一つで、日常生活圏を形成している都市及び周辺地域の町村が圏域を作り、例えば、消防、ゴミ処理、病院などの広域に渡る事務の共同処理の手法として活用されている制度。