地域スポーツと行政

国際社会学科3 安田 陽平 980145U)

·        目次

1.    テーマを選んだきっかけ

2.    日本の地域スポーツをめぐる変遷

3.    地域スポーツをめぐる新たな動き

まとめ 

 

1.    テーマを選んだきっかけ

·        高齢化社会・週休二日制などによる余暇時間の増大、人口の定住化傾向などにより地域スポーツの果たす役割はますます高まってきている。しかし、介護問題や生涯学習の話題がマスコミなどで取り上げられている一方で、スポーツを取り巻く日本の現状はあいかわらず行政や学校、そして企業主導のものとなっている。そのような中で新たな動きを見せる地域スポーツと、それを取り巻く行政の動きを取り上げてみた。

1.    にほんの地域スポーツをめぐる変遷

·        スポーツが人々の生活と結びついて登場し始めるのは1950年代の後半からである。その後、高度経済成長政策下での産業構造の変化、地域社会の崩壊・再編などの影響を受けながらも、生活の中でスポーツを求める人々は大幅に増加してきた。そして国民生活が安定成長するにつれて、その活動内容にも変化が現れ始めている。その変遷を大まかに整理すると次のようになる。

1.    昭和20年代後半から三十年代

    「地域網羅型および行事かりだし方スポーツ」

2.    昭和四十年代から五十年代前半

「競技会中心型スポーツと行政主導型みんなのスポーツ」

3.    昭和50年代から60年代

「個別的・私民的スポーツ活動、プレイ型スポーツ活動の新しい潮流」

4.    昭和50年代後半から平成

 「自立型、自己実現型スポーツ活動の芽生え・台頭」

1.    地域スポーツをめぐる新たな動き

 

·        スポーツをめぐる意識の変化

 

1.    横に結び合う人間関係を創造する活動としてのスポーツ

2.    自発的活動と身銭を切る活動

3.    共楽的スポーツから共育的スポーツへ

4.    地域に根ざす、健康で豊かな継続的活動

 

·        新たなスポーツクラブの例

 福岡市・三鷹市周辺の総合クラブ、Jリーグなどプロスポーツクラブを中心とした施設(別表1)、Jヴィレッチなどの複合施設(別表2)など

o       スポーツ行政の組織

 

·        国のスポーツ行政組織

国の行政に関しては、国家行政組織法にその機関・組織・権限などが規定されており、スポーツに関する行政は文部省の所轄事項と定められている。

 

·        地方公共団体のスポーツ行政組織

地方公共団体の行政組織は、地方自治法によってその組織・運営が規定され、スポーツ行政については、教育委員会が所轄することが定められている。

・・・スポーツ行政の課題・・・

1.    行政側の体質と意識の改革

2.    スポーツ振興プランの策定

3.    行政機構の改革

4.    民間活力の導入〜第三セクターの設置〜

5.    量的増大から質的充実へ

 

*日本の地域スポーツをめぐる実状

 

1.    学校の体育施設の開放状況

 

 

 

学校数

開放学校数

開放率

 

グランド

 

 

小学校

24,154

 18,742

77.6%

中学校

 9,987

  7,201

72.1%

高校

 3,661

  1,899

51.9%

37,802

  27,842

73.7%

 

体育館

小学校

 19,232

 12,991

67.5%

中学校

  8,679

  6,405

73.8%

高校

  3,070

  1,595

52.0%

 30,981

 20,991

67.8%

 

 

 

·        1976年に出された文部省通知「学校体育施設開放事業の推進について」の趣旨はほぼ理解され、小・中学校の屋外運動場と体育館を中心に、開放が進んでいる。この学校開放の中心は、管轄の教育委員会で行っている。しかし、まだ学校開放していない学校があるのは、住民が学校は開放していないと思っているのもあるが、学校の管理的意識が依然として強い場合が多いようである。

 

 

            例)真岡市の運営モデル

 

 

              学校開放運営委員会

    

       行政・・・・・・運営委員長・・・・・・・事務局

 

 


      学校代表者・・・・運営委員        (体育指導委員)

                             管理指導員

                各使用クラブ代表者



      

 

·        学校開放上の問題点

 1)体育館・グランド・プールなどの開放をここに進めているところが多く、また開放対象も児童・生徒に限られているところもある。そのため、学校の設備が児童・生徒のためだけのものとなり、地域住民のためのものとして機能していない。

2)学校側は、学校管理面から学校に部外者が出入りすることをあまり好まない。学校開放をすれば、学校施設が壊されたりするのを恐れるあまり、閉鎖的になりがちである。利用者のマナーも決してよいとはいえず、このことが学校の閉鎖性にいっそう拍車をかけることにもなり、悪循環の繰り返しになっている。

     

 

§        週休二日制・学校五日制への対応

 

1.    メンバー同士でのゲームの取り入れ

2.    スポーツ少年団や学校の運動部との提携

 

 

 

    *新しいスポーツクラブのモデル

 

1.    行政主導型

 

·        スポーツ教室からのスポーツ普及

·        行政と体育協会がタイアップしてのスポーツクラブ

 

1.    住民主導型

 

·        地域組織を母体としたスポーツクラブ

 

 

o       まとめ

 

地域スポーツの現状について真岡市の例などを踏まえた上での自分なりの考えをまとめてみた。まず、日本の地域スポーツをめぐる問題点を挙げ、それに対する自分なりの対策を、サッカーなどを例にとって具体的に挙げてみた。

 

1)目先の勝利から大きく育てる勝利へ〜一貫指導の必要性〜

 

   日本の地域スポーツの発展を考えた場合先ほど紹介したjビレッジのようなヨーロッパ型のスポーツ施設が理想だが、日本のスポーツ環境や、現在の地方の財政状況を考えるとなかなか難しいものがある。そうなると、日本のスポーツの中で大きな位置を占めている学校の運動部や、地域のスポーツ少年団での指導法も変革が求められてくる。そこでは、これまでのように短い期間で結果を求められる勝利至上主義型の活動ではなく、それぞれの子供たちの志向や個性を最大限に伸ばし、生涯にわたってスポーツに親しんでいくように指導することが求められている。

 

 

例)南宇和郡のサッカー指導

 

·        地域ぐるみのサッカー指導

 

四国の南端部に位置する南宇和郡では、基本的にはサッカー指導を小学校から中学校・高校へと連続させ、高校から社会人につなぐという考えにたって行われている。

 

南宇和のサッカー指導者は以下のような共通理解のもとに指導の実践を行っている。

 

小学校段階では「個人技を身につける。勝ち負けに関係なく、楽しさを身につける。」

中学校段階では「個人技をさらに向上させ、少しずつ戦術を理解させる。」

高校段階では「個人・戦術・体力を向上させパーフェクトスキルを完成させる。」

 

また各段階での指導者は、「心身の発達に応じたトレーニングの必要性」を理解し、勝敗にこだわらない楽しいボール遊びからはじまり、年齢に応じた内容で各段階の枠を超えて連携の取れた長い目で見た一貫指導を行っている。また、南宇和サッカー育成会によって建てられて宿泊施設やトレーニングジムがありいつでも利用できるように配慮されている。また、南宇和郡では、サッカーの招待試合が数多く行われている。

これらは行政側の主催や後援で行われ、サッカー人口の増大だけでなく、地域の活性化にもつながっている。

 

 

1.    利用者からの積極的な働きかけ

 

今までにあるように、真岡市や南宇和郡の取り組みでは市民と行政が一体となって新たなスポーツ環境をつくりあげていこうとしている。しかし、市民の間には未だにスポーツは教育や競技の場で行われるものだという意識が残っている。今後、学校五日制や週休二日制の定着にともなって余暇時間が増大する中で、市民全員がスポーツを楽しめる環境や地域でのスポーツクラブの充実・拡大を目指して利用者自信が地域や行政に積極的に働きかけていくことが必要になってくる。その為にも、「スポーツ」というものを単に観戦したり競技するためだけのものとしてではのく、人生を豊かにするための重要なものとして認識することが大切になってくると思う。

(別表1)ヨーロッパ型のスポーツ施設:Jビレッジ