行政学演習A提出課題          

 

国際学部国際社会学科3980122X澤田 勝弘

 

市町村合併問題に対する考察:さいたま新都心を例にとって  

 

 

目次

 

 

1.  市町村合併とは?  

2.  今なぜ市町村合併か? 

3.市町村合併のメリットは?

4.第三次市町村合併ブーム

5.埼玉県の市町村の姿

6.埼玉県における主な市町村合併の動き

7.移転する行政機関

8.市町村合併のジレンマ

9.新都市名がさいたま市になるまで

10.さいたま新都心における、まちづくり

11.さいたま新都心についての意識調査

12.政令指定都市について

13.現在政令指定都市を目指している主な都市と、過去の市町村合併の代表都市

14.市町村合併、政令指定都市問題に対する考察

 

 

 

 

 

 

 

 

市町村合併とは?

「市町村合併」には、「新設合併」と「編入合併」の2つの形態があります。
「新設合併」とは、例えばA市とB町がひとつになって新たにC市ができることをいい、「編入合併」とは、D町がE市に   編入されることをいいます。

「新設合併」の代表的な例・さいたま市、つくば市、北九州市

「編入合併」の代表的な例・仙台市、熊本市、広島市 

出典:自治省ホームページhttp://www.mha.go.jp/


今なぜ市町村合併か?

市町村合併が求められる要因として、次のようなことがあげられる。

《高齢化への対応》

 今後、各地域で高齢化が一層進展し、高齢者への福祉サービスがますます大きな課題となってきます。とりわけ高齢化の著しい市町村については、財政的な負担や高齢者を支えるマンパワーの確保が心配されています。

《多様化する住民ニーズへの対応》

住民の価値観の多様化、技術革新の進展などにともない、住民が求めるサービスも多様化し、高度化しています。これに対応するため、専門的・高度な能力を有する職員の育成・確保が求められています。

《生活圏の広域化への対応》

交通網の発達などにより日常の生活圏が拡大し、これに伴い行政も広域的に対応する必要があります。また、都市近郊では市町村の区域を越えて市街地が連続しており、より広い観点から一体的なまちづくりを進めることが求められています。

《効率性の向上》

危機的な財政状況にあるなかで、より効率的な行政運営が求められています。とりわけ、隣接市町村での類似施設の建設には批判があります。

《地方分権の推進》

 地方分権は、住民に身近な行政の権限をできる限り地方自治体に移し、地域の創意工夫による行政運営を推進できるようにするための取組です。これを円滑に進めるためには、地方自治体にも行財政基盤を強化するための努力が求められています。

市町村合併のメリットは?

合併すると人口が増え、自治体の規模が拡大するので、一般に次のような効果が期待できます。

  1. 広がった日常生活圏に、よりマッチした行政サービスを受けることができます。
  2. 隣接した市町村が別々につくっていた同じような文化・スポーツ施設を計画的に整備できるので、地域内でバランスのとれた、より質の高い施設を利用することができます。
  3. 市外利用のために高い料金を払っていたり、利用できなかった施設やサービスを、同じ自治体の住民として利用できるようになります。
  4. 各市町村が別々に整備していた道路、上下水道、公園などが、一体的・効率的に整備されます。
  5. 複数の市町村が一つになることにより財政力が強化され、住民の多様な行政ニーズに対応できるようになります。
  6. 組織の統廃合によって重複する部門の職員を他の行政サービス部門に配属したり、新規事業に振り向けたりすることによって、行政サービスの向上が図られます。つながり、若者の定着や職場の確保が期待できます。

第三次市町村合併ブーム

最近は、市町村合併ブームといわれていますが、数え方によると全国で50例以上あり、第三次市町村合併ブームといわれています。第3次といわれているのは、これまで2度のブームがあったことになりますね。
第1次合併ブームとは明治20年代の初め、市制町村制の発足(7万→1.4万)
第2次合併ブームとは昭和20年代の初め、町村合併促進法・義務教育が市町村に(9800→4000

では、第三次市町村合併ブームの特徴は一体どのようなものなのでしょうか?

地域のイメージアップにも3つのパターン−いずれの形は違うがまちづくり論として合併
@
地域の拠点都市の形成
A
都市圏の拡大による吸収合併
B
中核市・政令指定都市への昇格のため合併特例法の改正により、住民が一定数の署名を集めることで合併論議を進める

などという事が考えられる。

これまでの自治体合併の動き
第3次合併ブーム
 昭和の大合併といわれる昭和30年代はじめの合併ブームは、基礎自治体である市町村へ、財源と権限および事務配分が強化されたされたことを受けて、市町村の規模を大きくする必要が生じたことを背景としている。昭和2810月の町村合併促進法、31年の新市町村建設促進法は、市町村合併に大きく貢献し、町村合併促進法施行時に9,868の市町村が、新市町村建設促進法の失効する昭和36年6月には3,472にまで減少した。その後の合併促進関係の時限立法では、昭和37年5月から40年3月までの市の合併特例法があり、次いで昭和40年3月から50年3月までは市町村の合併特例法に切り替わり、それ以後も10年間隔で2回継続された。
 昭和50年代に第2次合併ブームといわれた時期もあったが、平成6年12月現在で3,236市町村であり、第1次合併に比べて市町村数の減り方は少ない。
A
3つのパターン
マスコミに報道され合併の事例は全国で50件以上に上る。合併をめざす目的によって、合併の事例を分類すれば、およそ次の3パターンに分かれる。
一つは、市街地が拡大し、通勤人口が中心都市近郊の市町村にまで拡大し、周辺市町村で急激に都市開発整備の必要が生じたが、周辺市町村が財政力不足などの理由から中心都市へ吸収合併された方がよいと判断されたものがある。これに該当するものでは、平成3年2月の熊本市(北部町、河内町、飽田町、天明町と合併)、昭和60年3月の広島市(五日市町が合併し佐伯区に)がある。
二つめは地方圏において中核都市の形成を図るために合併するもので、昭和6211月のつくば市(桜村、谷田部村、豊里村、大穂町が合併してつくば市に、ついで昭和63年1月にはさらに筑波町が合併)や、平成3年4月の北上市(和賀町、江釣子村と合併)、平成5年7月の飯田市(上郡町と合併)がある。
三つ目は、権限委譲のために都市規模を拡大するためのものであり、実現したものでは仙台市(昭和6211月に宮城町、63年3月に泉市、秋保町と合併)が政令指定都市の指定をめざしており、同じく静岡市と清水市の合併構想、浦和市・大宮市・上尾市・与野市・伊奈町の4市1町によるいわゆる埼玉You and I 構想も同じく政令指定都市をめざしている。今後は中核市制度がスタートするので、中核市をめざした自治体合併の動きも始まるものと思われる。

出典:自治省ホームページhttp://www.mha.go.jp/


B
特例法の更新
合併特例法は平成7年3月に時限立法の期限が切れるが、引き続き合併促進を図りたい国が、市町村の自主的な合併を促進するために、市町村の合併の特例に関する法律を一部改正強化し、合併に対する誘引を今まで以上に促進する方針を打ちだした。新たに、住民(有権者)の発議によって合併協議会の設置請求を認めたことで、住民側が合併に働きかけるルートを作ったことが注目される。このほか議会の議員定数の特例を認めるなど、議会側の抵抗から合併が容易に進まない現状を打開しようとする姿勢が伺われる。堺市と周辺自治体との合併について住民側がどのような意向を持つかは不明であるが、合併議論が不断に行われるような環境が整備されてきたことは、堺市の政令指定都市移行に対する追い風と見るべきであろう。参考:小西砂千夫のホームページ(関西学院大学教授)


出典:自治省ホームページhttp://www.mha.go.jp/

埼玉県の市町村の姿

 埼玉県の市の数は43市と全国で最も多く、市町村数は92で全国で8番目となっています。

<市町村の人口、面積の比較>*平均値

 

市町村

町村

埼玉県

埼玉県

埼玉県

人口

3万6千人

7万4千人

13万5千人

13万6千人

1万1千人

1万9千人

面積

115km2

41 km2

157 km2

 44 km2

104 km2

39 km2

 

埼玉県における主な市町村合併の動き

(1) 浦和・大宮・与野地区

 この地域では、昭和2年の一大都市建設構想以来、幾度となく合併構想が進められてきましたが、最近では、浦和、大宮、与野の3市にまたがる旧国鉄大宮操車場跡地を中心とした「さいたま新都心」の整備を一つの契機として、浦和、大宮、与野の3市による合併を目指した動きがあります。
 また、これに、上尾市と伊奈町を加えた4市1町の合併構想もあります。
 浦和、大宮、与野の3市では、平成9年7月7日、各市議会が3市による任意の合併協議会を設置することについて決議を行い、同年12月18日、浦和市、大宮市、与野市合併推進協議会が発足し、会長には石原信雄前内閣官房副長官が就任しました。

(2) 戸田・蕨地区

 戸田、蕨の両市議会は、平成9年9月22日、広域行政等推進特別委員会をそれぞれ設置し、消防、医療などの広域行政の推進や合併を含めた地方分権の受け皿づくりについて調査研究を進めています。
 また、隣接する川口市と鳩ヶ谷市でも合併構想があり、これに戸田市と蕨市を加えた2段階合併構想もあります。

(3) 朝霞・志木・和光・新座地区

 朝霞、志木、和光、新座の4市の市議会議員で組織する朝霞地区4市市議団協議会は、平成9年7月、総務、広域行政、環境・福祉・教育、建設の4つの部会を設置し、4市合併や広域行政について調査研究を進めています。

(4) 富士見・上福岡・大井・三芳

 平成11年8月2日、東入間青年会議所から富士見市長、上福岡市長、大井町長、三芳町長に対し、2市2町による合併協議会の設置を求める住民発議がなされ、10月20日には、各首長とも合併協議会の設置協議に関する議案を議会に付議する旨の回答を行いました。その後、12月17日までに全ての議会において協議会設置の議決が行われたため、平成12年4月1日に合併協議会が設置されることになりました。

(5) 住民発議によるもの

(4)以外の以下の3地域でも合併を求める住民発議がなされましたが、いずれも合併協議会の設置には至らず、手続きは終了しています。

浦和・大宮・上尾・与野・伊奈
平成7年5月から6月にかけて、上尾市と伊奈町でそれぞれ4市1町の合併を求める住民発議。(浦和、大宮、与野の3市長が拒否回答)

川口・鳩ヶ谷
平成8年10月、鳩ヶ谷市で川口市との合併を求める住民発議。
(川口市長が拒否回答)

本庄・上里
平成8年11月、本庄市と上里町でそれぞれ両市町の合併を求める住民発議。(上里町議会で否決)

川口市・草加市・蕨市・戸田市・鳩ヶ谷

埼玉県南5市町作り協議会を発足。高度情報化社会に向けて、「テレトピア計画」を策定。郵政省より、「テレトピア構想モデル地域」の指定を受けている。

さいたま新都心に移転してくる官庁施設  

 

 

 

主に関東甲信越地方を所掌する国の18機関が移転し、街びらきより一足早く業務を開始しています。広域的な行政拠点として、さまざまな情報が発信されるとともに、国の広域防災拠点としても位置づけられています。

省庁名

機関名

警察庁

総務庁

防衛庁

法務省

大蔵省

厚生省

農林水産省

通商産業省

郵政省

建設省

関東管区警察局

関東管区行政監察局

東京防衛施設局

東京矯正管区関東地方更生保護委員会

関東財務局関東信越国税局関東信越国税不服審判所

関東信越地方医務局

関東農政局東京肥飼料検査所東京農林水産消費技術センター

関東通商産業局

関東郵政監察局関東郵政局東京貯金事務センター

関東地方建設局

10省庁

17機関

関東管区警察局
大規模災害及び騒乱に係る事案に関する警察運営、緊急事態に対処するための計画及びその実施、全国的な幹線道路における交通規制、国際捜査共助、国際緊急援助活動、警察通信、犯罪鑑識など

関東管区行政監察局

各行政機関等の業務の実施状況の監察(調査)、苦情斡旋、行政機関の機構・定員及び運営に関する調査など

東京防衛施設局

防衛施設の管理業務、防衛施設用地等の取得・補償業務、障害防止工事に対する補助金交付業務、飛行場等周辺に所在する住宅等に対する騒音対策、在日米軍施設の整備及び移設など

東京矯正管区

矯正施設(刑務所、拘置所、少年院等)の指揮監督及び運営管理

関東地方更生保護委員会

仮釈放の許可、仮出獄の取消、退院決定、保護監察署事務の監督など

関東財務局

銀行・保険会社・金融先物取引業者・貸金業者・抵当証券業者等の指導監督、国の予算に係る業務、地方公共団体への資金の貸付、公認会計士試験の実施、地方経済情勢等の調査、景気予測調査、行政財産の総合調整、普通財産の管理処分など

関東信越国税局

内国税に係る税務署の賦課徴収についての指導監督及び特定の賦課徴収など

関東信越国税不服審判所

国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する調査・審理及び裁決

関東信越地方医務局

国立病院及び国立診療所の業務の指導監督、国立病院特別会計の経理など

関東農政局

農地利用に関する調整、農業施策の総合調整・指導、土地改良事業などの全体設計、技術指導・監督・検査・災害査定など


東京肥飼料検査所

肥料の生産業者・輸入業者登録審査、検査、鑑定、試験、調査研究など

東京農林水産消費技術センター

加工食品・木質建材品質安全性テスト、市販品検査、消費者相談技術講習会、輸出検査など

関東通商産業局

産業立地地域振興に係る企画、公害防止・産業保安、調査統計、流通・消費生活、通商・貿易、中小企業対策、技術振興、エネルギー対策など

関東郵政監察局

郵便業務に係る捜査、考査、調査など

関東郵政局

郵便業務、為替貯金業務、簡易保険・郵便年金業務など

東京貯金事務センター

為替貯金関係の原簿記録入力データ作成など

関東地方建設局

河川・道路・砂防・海岸・ダム・公園などの建設工事及び維持管理、国土計画・地方計画の調査、洪水予報・水防警報、官公庁の建築物の建築など 

 

市町村合併のジレンマ

 市町村合併の話はよく聞くのですが、なかなか実現していません。1995年9月の「あきる野市」成立が最後であるそうです。最近では浦和市・大宮市・与野市の合併が具体化していますが、なかなか合併発表の話は聞こえてきません。何故なのでしょうか?

 合併のメリットは、とくに政令指定都市と成れる場合が最も大きいです。都道府県と対等の地位になり、機関委任事務も増えます。周辺からの流入人口の増大が見込め、企業の支社・支店が進出してくる可能性も高くなります。歳出枠は増え、都市部・地方部への重点投資も可能となります。
 また合併が具体化してくると、新たな問題が生じるでしょう。市庁舎所在地の問題首長ポストの問題議員定員の問題などの問題です。1987年11月に茨城県の5町村が合併して成立したつくば市では、市長の出身自治体によって市役所が動かされるなどパワーバランスの問題が生じました。同様の問題が生じないと断言はできません。やはり寄合所帯は共有の目的がないと纏まらないようです。

 読売新聞の1998年3月23日号の記事を参照しますと、合併が進まない原因は地方交付税にあるそうです。長野県の諏訪、岡谷、茅野の三市と下諏訪、富士見の二町、原町の6市町村合併が実例として上がっています。少しばかりデータが古いですが、「都市データパック1996年版」(東洋経済新報社発行)からデータを引用してみましょう(小括弧内は全国順位、*はデータ基準年が異なります)。

市町村名

面 積(km2)

人 口(人)

歳 出(億円)

財政力指数(%)

諏 訪 市

109.06338

51,998430

184

88185

岡 谷 市

85.14400

58,286384

202

72315

茅 野 市

266.41105

51,984431

231

65377

下諏訪町

66.90---

24,821---

72

---

富士見町

104.76---

15,281---

*63

---

原  村

43.23---

7,131---

*43

---

合  計

675.05015

209,501098

*795

---

 以上総括すれば面積順位15位、人口98位の中規模都市(面積では東京23区+武蔵野氏+三鷹市+調布市+狛江市に匹敵、人口ではほぼ調布市に匹敵する)が出現します。この6市町村であるのは、これらで長野県諏訪郡を構成するためです。

 そこで1997年2月に合併協議会の設置を諮った(今回が三度目である)が原町が否決しました。データを見る限りでは原村が救済合併されるようですが、人口比で3%しか占めない同村が財政費で5.5%を占める不自然さが目立つでしょう。その仕掛けは原村の歳入の44.5%を占める地方交付税の高さにあります。地方交付税を原資にして、6歳以下の幼児と65歳以上の高齢者の医療費が無料などの手厚い福祉サービスが行われています。原村の住民は合併が実現すれば手厚い福祉サービスを諦めなくてはいけないため合併に反対なのです。
 富士見町も原町ほどではありませんが、多額の地方交付税を受けています。したがって合併には積極的でありません。だからといって残る4市町で合併したのでは富士見町・原村の過疎化は一層加速されるでしょう。合併が過疎化の歯止めになるかは微妙ですが、それは市政次第だと思います。地方交付税を取るか、スケールメリットを取るかの二者択一で地方交付税を選択する小自治体は多いようです。この事例ではとりあえず4市町での合併を検討するべきなのでしょうか。

 やはり払いすぎの地方交付税が合併の妨げの一因なのだと思います。他市町村よりも過剰な行政サービスを提供する余資があるならば、まず国庫に返納するべきです。あるいはもっと市町村が発展するための何かに投資すべきではないでしょうか。今回の合併は最後のチャンスであるはずで、国が地方交付税削減を打ち出してから合併を望むようでは遅いと考えています。

98.03.29

補足1
 大型合併と期待されている大宮市・浦和市・与野市の合併が遠のきそうです。大宮市はさらなる広域合併を提唱して協議は停滞気味、2000年5月の「さいたま新都心」街開きを目途としていた計画が大幅に遅れるとのことです。
 最大の理由は、大宮市の我が儘。当初、新しい名称の採用に賛意をしめした同市が、名称を伝統ある大宮市にしたいと言い出したのが発端で、その後県庁を含む主要公的施設を全て大宮市に集約する我田引水を強調していることが問題だそうです。大宮市の一方的な態度に浦和市サイドが抵抗し、与野市は傍観という雰囲気だと伝わりますが、政令指定都市化を踏まえた建設的な議論には成っていないようで、残念です。

99.09.10

                                                 参考: 深澤ポン太のホームページhttp://www02.u-page.so-net.ne.jp/pa2/sdj/

深澤ポン太さんのホームページに対する考察

今回、行政学演習において、市町村合併ならびに政令指定都市について調べるにあたって深澤ポン太さんのホームページを非常に活用させてもらった。この深澤さんは、地方行政論を取っていた時、中村先生から、教えていただいたホームページで、あらゆる政治経済などについてホームページ上で発信している。ただ、私の考えとしては、さいたま新都心についての市町村合併問題については、あまり資料が存在せず、市町村合併という抽象的ではあるが、全体としてのテーマにおいて活用させてもらった。

新都市名がさいたま市になるまで

新都市名:さいたま市に決定

浦和、与野、大宮の各市の代表者は、新都市名をさいたま市とすることで合意したが、これに至るまでには様々な新都市候補名があげられた。去年から、新都市名を一般公募によって募集した事により、様々な新都市名が挙がるのを期待していたが、意外にも大きな変化を期待する住民は少なく、さいたま市という、今回決定した新都市名と埼玉市という県名を取った新都市名がもっとも多かった。埼玉市においては、県北の都市・行田市が埼玉という県名発祥の地を名乗っており、埼玉市の起用において強く反発した。これらの意見をふまえて、わかりやすく、また県名のさいたま市を新都市名に起用する事を、3市合併委員会は決定した。また、その他の新都市名には、以下のようなものがある。

埼玉市(さいたま、さきたま市)

和野宮市

大宮市

浦和市

彩都市

彩玉市

などである。また、某テレビ番組の企画でも、新都市名について論議されていたことなどから外部においての関心の高さがみうけられる。しかしながら、「さいたま新都心」という新駅を先に建設してしまったために、結局のところは、さいたま市にすることが行政の中で決定済みだったのでは?という疑問も残る。さいたま市に決定した事に対し、若者などの多くは常日頃から言われ続けている、ダ埼玉という名称の『ダ』を取り除いただけで、格好悪すぎる。などという反論をしている。また、『さいたま』という平仮名で新都市名にしたことによって、行政側とは違い、政令指定都市を目指す都市としてあまりに安直であり、ふさわしくないのではないのか?という意見も出ている。

さいたま新都心におけるまちづくり 

さいたま新都心地区の西側部分は、もとは旧国鉄の大宮操車場で、昭和59年の操車場機能の廃止に伴い、跡地一帯の再開発計画が浮上しました。一方で、東京への一極集中を解消し、国土の均衡ある発展を目指す政府が、国の行政機関を集団的移転させることにしました。

当時、埼玉県のほか千葉県や神奈川県、さらに東京都も立川などへの誘致を働きかけていましたが、平成元年に政府はさいたま新都心を移転先として決定しました。

さいたま新都心は、国の行政機関と商業・産業、文化施設などが集まり、首都機能の一翼を担うとともに、21世紀の彩の国をリードしていきます。また、東京への過度の依存を是正し、県民が誇りと愛着を持てる自立性の高い都市圏を実現します。

47・4ヘクタールのこの街の計画就業人口は約5万7千人。埼玉経済同友会の試算によると、さいたま新都心の建設に伴う経済波乃効果は5兆5千億円と見込まれています。

都市景観

埼玉県・3市・住都公団は、快適で魅力あふれる優れた都市景観を持つまちづくりの考え方を示した「さいたま新都心景観形成方針」を定めています。

さいたま新都心景観形成方針

・景観形成方針の目的

さいたま新都心は、生活・産業振興・生涯学習・芸術文化・スポーツ等の面で多くの人々が訪れ、集い、活動する中心として、すなわち「埼玉の辻」となる21世紀の新しいまちづくりを目指しています。そのため魅力的で優れた都市景観の形成を図ります。

・目標

@人が風景となる場をつくる

A時のうつろいを体感できるまちをつくる

B快適に滞留できる空間をつくる

C地域の持つ特性をとりこむ

・基本方針

@辻ひろば中心の景観をつくる

A時代を切り拓く建築群による景観をつくる

B折り重なる緑景観をつくる

C彩りのある景観をつくる

D地域と調和し、訪れたくなる景観をつくる

・景観形成の実現に向けて

対象とする空間は、公共的空間に隣接する建物低層部と敷地内空間及び建物頂部からなる半公共的空間(セミパブリックスペース)

・実現に向けて

 ・まちづくり推進協議会により方針の具体化を図る

 ・清掃、施設の更新等の維持管理体制を確立する

安全性、快適性にも留意して景観形成を進める

・まちづくり推進協定

 区域内の地権者や建物事業者、県・3市・住都公団は、景観形成、都市管理などのまちづくりに取り組むことを定めた協定を締結し、協定を運営する組織として「さいたま新都心まちづくり推進協議会」を設置しています。

さいたま新都心まちづくり推進協議会

・目的

さいたま新都心は、中枢・中核施設や国の官庁施設を中心とした多様で、高次の機能、用途を高密度に集積し、「にぎわい」「ふれあい」「ときめき」を体感できる街を目指しています。このためには、新都心の事業に参画する各事業者が基本的な価値観を共有してまちづくりに取り組む必要があります。

「さいたま新都心まちづくり推進協議会」は、まちづくりに関するルールを「合意」する場であり、合意したルールに基づき、創意工夫により、各事業がより良いまちづくりを推進することを目的としています。

・主な取り組み事項

景観形成、都市管理(供給処理施設への加入、高度情報化への対応、リサイクル社会への対応、電波障害への対応、福祉のまちづくりへの配慮など)

・高度情報化への対応

駐車場案内などの情報提供システムや都市施設のセキュリティシステム、映像・業務支援などの高度情報機能の導入が検討されています。これらを支える基盤として、地区内には光ファイバーによる情報通信網が整備されます。

環境を考える街 

さいたま新都心は、省資源・省エネルギー、リサイクルなど環境に配慮し、水・廃棄物・エネルギーのそれぞれの資源の循環システムを体系化した『資源循環型まちづくり』を進めます。そのため、再生水・貯留雨水の活用を積極的に行ったり、廃棄物の減量化・資源化を進めるため、リサイクルシステムを構築します。

県内で初めて導入する都市ガスによる地域冷暖房システムは、冷暖房に使用する冷水や蒸気を集中的に発生させる事で、エネルギー効率を高くし、大気汚染の防止にも役立てます。

また、新都心の近くに、各運送事業者の貨物を共同集配送するための拠点施設を設けます。この拠点とさいたま新都心との間を低公害車による共同集配送車両を走らせ、輸送効率の向上と新都心内の貨物車両台数の大幅な削減を目指します。

災害に強く、景観を考える街 

上水道、電話、電力などの配管・ケーブル類は共同溝にまとめて収容し、地下に埋設します。これにより道路の掘り起こしを防ぎ、維持・管理もしやすくなる上、地震などの災害にも強い街となります。電柱や電線が無くなるので景観も向上します。

生活、産業、芸術文化などの面で多くの人、物、情報が行き交う創造的な都市空間である。『埼玉の辻』として、さいたま新都心は快適で魅力ある都市景観を作るため、『さいたま新都心景観形成方針』を策定し、街全体で景観を考えます。

人にやさしい街 

さいたま新都心は、バリアフリーに配慮したモデル都市とするため、平成92月に全国に先駆けて『バリアフリー都市宣言』を行い、障害のある人も高齢の人も誰もが安心して快適に活動できる街づくりを目指しています。

新都心を構成する主な施設 

さいたまスーパーアリーナ 

音楽・スポーツ・産業・文化などの核として、広く県民が集い交流する新しい彩の国の象徴となる施設です。世界最大級の可動システムで、約6千席のホールから約3万7千席のスタジアムまで、さまざまな屋内イベントに対応できるのが最大の特徴です。9月にオープンし、そのこけら落としとして国際バスケットボール大会が開催されます。

けやきひろば

新都心のまちづくりを先導し、常ににぎやかで、魅力あふれる都市空間になります。二階部分にあたる人口地盤上は『空の森』をテーマに、ほぼ一面をケヤキの木で覆い、四季折々の変化で、彩の国の気候風土を美しく演出します。また、人工地盤の下の一階部分には、新都心を訪れる人のための商業施設や憩いの場が9月にオープンします。

浦和簡易保険新型健康増進施設(仮称)

健康増進を図る青少年を中心に、各世代が利用できる新しいスタイルの福祉施設で、プールやスポーツジムをはじめ、レストランや研修施設を備えています。今年9月にオープン予定です。

複合交通センター 

業務・商業施設からなり、バスターミナルなどの交通広場と、さいたま新都心駅から続く歩行者デッキの機能も併せ持つ複合施設です。

交通アクセスも抜群 

さいたま新都心駅

JR京浜東北線と宇都宮線、高崎線が停車する新しい駅が新都心のほぼ中心につくられ、4月1日から開業しています。なお、隣接する大宮駅には、12路線が乗り入れています。

首都高速道路 

高速大宮線が、戸田市美女木〜浦和市三浦間(延長約13・8キロメートル)に整備され、新都心内をトンネルで通過します。美女木ジャンクションで、東京外環自動車道と接続し、都内や常磐・東北・関越自動車道と結ばれ、自動車でのアクセスも抜群です。

さいたま新都心についての意識調査 

浦和、大宮、与野の3市合併について、約4割の住民が『必要なし』と思っていることが、聖学院大学総合研究所の住民意識調査により分かった。3市は来年5月1日に合併する事で合意してるが、同研究所は、『住民に合併のメリットがきちんと説明されていない。法定の合併協議会で、きちんと議論してほしい。』とはなしている。

調査は、昨年11月から今年2月、3市の市民に郵送で依頼し、約1100人から回答があった。

『合併の必要性を感じてるか?』という質問には、38%が『いいえ』と答え、『はい』の18.6%を大きく上回った。市ごとに見ると、『いいえ』と答えたのは、浦和で45.8%、与野で30%、大宮で27.9%だった。

『合併しないと困る事があるか?』という問いには、77.7%が『特に無い』と回答。『困る事がある』は6.1%しかなかった。

合併する市町村の組み合わせは、浦和、与野では『3市のみで政令市に』が4割でトップ、大宮では『上尾市と伊奈町を加えた4市1町で』が3割で最も多かった。

新市役所の位置については、浦和、大宮とも、7割が自分の住んでいる市への設置を希望。新市のイメージは、『福祉優先都市』がトップで、2番手は、浦和が『文教都市』を、大宮が『商業都市』を挙げた。

 

政令指定都市について

政令指定都市とは?
地方自治法により、政令で指定された都市のこと。ただどの都市もなれるのではありません。指定されるには人口50万人以上と決められていますが、実質的に人口100万人程度でないと指定されないみたいです。政令指定都市が一般的に「大都市」と呼ばれます。実際に指定された都市は北から札幌、仙台、千葉、川崎、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡の以上12市です。(東京は特別区のため市ではない)

最近では1992年に千葉市が指定されました。その時の人口約84万人と言うのは異例です。まあ福岡市が人口約86万人で指定(現在約120万人)、仙台市が人口約89万人で指定(現在約99万人)されましたが。

政令指定都市の特典は、県なみの権限が与えられることです。都市計画、福祉、衛生(保健所とか)など多数の事務が県から委譲されます。予算なども県に陳情するのではなく、直接国に陳情する事になります。いわば県と同じ扱いになります。また区制を敷くことができ市内にいくつかの区役所を設置し、きめの細かい市政が執り行われるようになります。 姫路市には飾磨区など、市内の特定の地域に区が付くところはありますが、これは政令指定都市の区とは全くの別物です。参考:ふじ`Sホームページ

 

現在政令指定都市を目指している都市

政令指定都市を目指す都市達

現在私が確認している限りでは4つの市と地域です。

     堺市(人口約80万人) 大阪府

     浦和・大宮・与野市(合計人口約100万人)埼玉県

     静岡・清水市(人口 静岡市約47万人、清水市?万人)静岡県、人口はこれを書いている時点で確認できませんでした。

・ (新潟市・佐渡島)(人口 新潟市約50万人、佐渡島全体?万人)新潟県、人口はこれを書いている時点で確認できませんでした。

 新潟市合併問題のホームページhttp://www.city.niigata.niigata.jp/gappei/index.html 

市町村合併、政令指定都市に対する考察 

今回、市町村合併、政令指定都市についてのテーマを選んだ背景には、現在、全国の多くの市町村で市町村合併(新設合併・編入合併)を遂行しようという行政、または諸団体・個人の動きが活発であったため、また、個人的だが現在住んでいる埼玉県において大規模な合併があった事がその要因である。

ひと口に市町村合併といっても、行政側だけでなくその住民にとっても、非常に大きな意味を持つものであるように思える。例えば、今まで隣の町に暮らしていた人同士が同じ町の住民として生活していくのであるから、行政機関や、諸施設(市民プール、市民運動場など・・・)様々な施設においても今まで以上により多くの人間がその施設などを同じ市民として活用していくわけである。その存在価値は大きいものであるように思える。何より、町が大きくなる事は、その町の知名度を考えてみても全国的に有名になる場合があるため、外側から見る限りでも、メリットがある。

ただ、市町村合併政令指定都市という組織図では、ただ、行政側と住民側との対立も考えられる場合もある。政令指定都市とは、上で述べたように、一都市として、県なみの行政執行権を持つ事が出来、また、区制を敷く事によりより広い範囲での行政活動が可能になる。しかしながら、例えば同じような人口の都市が新設合併として新都市になる場合、それぞれの都市がそれぞれの主張をする事が考えられるため、なかなか意見がまとまらず採択されない事も多々ある。例えば、今回のさいたま市においてもそれぞれ3市の行政側が、独自の意見を言い合い、特に新都市名の決定には長い時間を費やす結果となってしまった。その間、住民からの公募による新都市名の募集などを大々的に行ったりもした。これは、人口が近くそれぞれ特徴を持っている大宮市と浦和市の事実上この2市の争いであったように思える。つまり、大宮市としては、歴史ある商業都市、埼玉県の新幹線が停まるのは大宮駅であるため、知名度的にも大宮市を残すべきであるという主張。これに対して、浦和市は埼玉県の県庁所在地であり教育の町であるという認識が強く、県庁所在地名は変えることは出来ないという主張があった。確かに、第三者的な意見であれば新都市名の公募などは控え、浦和市のままで新都市としたほうが良かったのではないのかという感じがする。やはり、県庁所在地としての知名度、今までの合併でかつての県庁所在地名が変わるのはまれであると思うためである。また、浦和市は行政機関が多く存在しているため、住民にとっては利便性があるのではないのかと考えた。結局のところ、さいたま市ということで、落ち着いたが、この問題はこれからも続くであろうし、早急な改善策が必要であると思う。未だ、納得できてない感じを覚えるためである。

さいたま新都心に対する考察

今回、身近な市町村合併の例として、さいたま新都心を併せて調べていった。その結果、さいたま新都心に対する住民の意識の欠如が多く見られた。まず、さいたま新都心駅というのが、4月1日に大宮駅と与野駅との丁度中間地点に完成開業した。それまで、3市合併という問題に対しあまり意識をしていなかった人々も、この新都心駅開業によりさいたま新都心に対して意識しはじめるようになったと思われる。よく月5月5日にさいたま新都心まちびらきセレモニーが行われ、新都心駅開業から、まちびらきまでの間、多くの行政関係者や地元大学教授などの公演も相次いだ。

今回、私は5月5日のさいたま新都心まちびらきセレモニーに行って、マスコミなどの事前調査とは違った視点での実地調査を行いたいと思い、5日のセレモニーに行ってきた。ここで、主婦層と若者層、またお年寄り層に新都心ならびにさいたま市に対する意識調査を行った。やはり、予想していた通りさいたま市に合併する理由がわからない・合併したところで何も変わらない気がするなどの意見が多く、住民にとってはあまり興味がない様子であった。むしろ、地方からセレモニーに参加していた人の方が、さいたま新都心に対する意識が強く、横浜のみなとみらい21・千葉幕張の臨海副都心に次ぐ首都圏第三の新都心勢力としてみている人が意外にも多かった。

ただ、若者は新都市名決定後も、ダ埼玉というネーミング意識に対する思いが強く、さいたま市は格好悪い・手紙に平仮名で、さいたまと書くのは恥ずかしい・さいたま市施行までには、引っ越すなどという意見も少なくはなかった。また、合併後の新都市市役所はどこの地域にふさわしいかという質問に対しては、それぞれが自分の町へ来てほしい、という意見が多かった。中には、さいたま新都心駅周辺がベストではないのか?という意見もあった。

次に、政令指定都市に移行するばあい、今度は普通の名前にして欲しいという意見もあった。政令指定都市となる場合、区制を敷くため今まで隣接していた市民と同じ区民になるのは避けて欲しいなどという意見もあった。これらの問題に対する行政側の対応策に期待したい。また、さいたま新都心オープンとはいっても、ほとんどの施設が未だ、未完成のままであり、完成になるのは2000年9月ということであった。いずれにせよ、埼玉県に人口100万人を超える大都市が出来るのは事実であり、県民にはもう少し新都市への意識を持って欲しいと願うのと、行政側のさらなる情報公開などにより、県民との間に隔たりを無くすよう努力をして欲しい。