(地方行政論)
長野県民の反発!
〜
長野知事に田中康夫氏 〜佐藤理恵(990130
C)
長野知事選に注目したわけは
40年間、長野県では県庁出身の2人の知事が続き、今回の選挙ではこのタテ割に県民がやっと“NO”をつきつけた
からである。私は日頃から、日本の政治の方針にいくつかの疑問を感じて
いた。しかし、市民はそれに従うだけで自分たちの代表者にはっきりと
意見を言わなかった。それどころか行政のやりかたにあきらめかかってい
た。今回の長野知事選では県民がはっきりといままでの行政のやりかたに
“
NO“ と言った。その現われが田中康夫を県知事候補にあげ、そして当選である。なぜ、県民はこの
40年間のタテ割に“NO”と言ったのか?そのことについて私はとても関心を抱いたので、長野知事選をテーマにあ
げ、分析してみた。そして、これからの日本をよくしていくためにも行政
はどうあるべきか?私なりに今回の長野知事選を分析してみて感じたこと
をあげてみたいと思う。
(
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月30日県内の企業の社長、田中氏と初めて会い、長野知事選への出馬を求
める。
理由
長野五輪招致活動費の会計帳簿が焼却されたとされる問題に
当事のの財政課長の池田氏が知っているのではと指摘されて
いた。この問題から、社長は何とか県庁外からの知事をと
求めた。「組織力に勝つには県内出身の著名な文化人」と数人
に声をかけ、そのうちの1人が田中康夫氏だった。
1週間後
社長は長野県のトップバンク「八十二銀行」頭取、茅野氏と田中氏
を引き合わせる。
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月中旬茅野氏、田中氏支持を表明。「個人として支持したい。」
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ヶ月後池田氏の後援会副会長を勤めていた仁科恵敏・県商工会議所連合会
会長が田中氏支持を表明。「田中氏を個人的に支援したいという気持
ちが強い。」
支持理由
今声をあげないと、県にものを言えない雰囲気は変わらないと
思った。
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月下旬田中氏、立候補を決意。
田中氏 長野五輪招致活動費の会計帳簿が焼却されたとされる問題
や県の情報公開度が低いことなどを指摘。「県民が自由に
発言できる県政を目指したい。長野をみんなで変えよう」
と訴える。
池田氏 40年間の行政経験を生かし、新しい信州を創造する。」
と訴える。
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月16日田中氏、当選!
田中氏が知事選に立候補を決意した8月下旬以降、地元の文化人や主婦、
農業従事者ら数十人規模の後援会のHP(Home Page)に「何か
手伝えないか」「私の町で集会を開きたい」と各地からのメールが寄せられ
た。
田中氏にも県政への不満や「ぜひ、立候補して」と働きかける内容のメー
ルがとどいた。そうしたメンバーたちが県内各地で続々と勝手連を立ち
上げた。
ある長野市の主婦は長野オリンピックの時、ボランティアとして外国人
案内係を務めた。彼女は「五輪は長野にとっても私にとっても誇りだった
のに最後に汚れた。県にはきちんと事情を説明してほしかった。」と語った。
このような理由から彼女は今回初めて選挙事務所に登録されたボランティ
アの1人として選挙にかかわった。
朝日新聞による出口調査
民主党―>7割は田中氏に投票
*新しい活力を育む長野県
*愛情があふれる長野県
*しなやかで、すがすがしい長野県
真っ当に楽しみ、真っ当に動かす。
私たちのために税金を使おう。
行政とは、県民益を生み出すサービス機関。
(HPの県の無駄遣い情報から)
長野県の経済は公共事業へ偏っている大きな歪みがある。「為者経済」
だ。その
歪みを正すのに多くの痛みを強いられると思うが、正さない限り、つまり「本物の経済」への移行を図らなければ、長野県に将来はないと思う。
(HPの田中知事、初登庁
Special Versionから)県民の視点にたった対話の姿勢は重要です。県の財務諸表を作って下さい。
政策集団を内部職員、外部の専門家で作り上げて下さい。(島根県、女性、40歳)
民意が何を求め、何を欲しているのか?民を触れ合い、出来ること、できない
こと、税金の使途、全てを公開し、民と一緒に県政を進めることが大事である
と思う。(兵庫県、男性、30歳)
企業局長の名刺折り曲げ事件について、報道記者やカメラの前であのようなこ
とをあえて行ったのは、むしろ、新知事に対する真剣な期待感があればこそだ
ったのではなかったのでしょうか。真剣な感情には批判的部分が含まれるのは
当然です。私は今回のようなことが起きて新しい雰囲気を前進であり、また、そうするべきだと考えます。(北海道、男性、35歳)
今回の長野知事選は長野県民ではない私にとっても、とてもおもしろい選挙だった。
なぜならば、タテ割の古い形式に県民ははっきりと“NO”をつきつけ、新しい形
式に変更することを望んだ。そもそも、県民にこの古い形式に不満を抱かせた大き
なきっかけは長野五輪招致活動費の会計帳簿焼却事件であったと考えられる。長野
県民にとって長野でのオリンピック開催はとても誇り高い出来事であった。それを
最後の最後でこのような事件を起こし、県民はとても憤慨したにちがいない。県民
はますます、県の情報公開を強く望んだ。その結果が田中康夫氏の当選であると私
は分析する。
最近の投票率は年々、減少傾向にあり、人々の行政への関心の無さが浮き出てい
る。今回の長野知事選も投票率は前回より低かったが、新聞やHPから、今まで選
挙に関心なかった人々が積極的に選挙活動を行った様子がうかがえる。本来、選挙
とは市民が行政に対して堂々と態度を表していい時だと私は思う。それを「どうせ
何も変わらない」と投票しないのではそれこそ何も変わらない。私たち、市民は私
たちの代表を選ぶ権利があり、おかしな態度を示す代表者には“NO”をつきつけ
る権利もある。今回の長野知事選は県民の自分たちの県を変えたいという態度が明
確に出ていたように思われる。
このように国民は積極的に行政に参加しなければならない。そうでなければ、よ
りよい日本社会はつくれない。私たちの意見ができるだけ取り入られるような代表
者を私たち国民が選ばなくてはいけない。そのためにも行政参加の第一歩として選
挙ぐらいには参加するべきだと思う。しかし、どんなに投票したくても仕事で忙し
く行けない人も多いと思う。そういった彼らでも投票できるように新しい投票の方
法を考える必要がある。そこで、私なりに考えた案が
1つある。それはインターネットで投票ができるようにするという案である。そうすれば、投票会場に足を運べ
ない人でも選挙に参加できるのではないかと思う。また、携帯電話からでも投票が
できるようにすれば、忙しい人でも選挙に参加できる。そのためにはインターネッ
トなどのさまざまな設備が必要になる。この方法は設備を完璧にするのに多少時間
がかかるかもしれないが、仕事で忙しい人や病院で入院している人など投票会場に
行けない人が選挙に参加でき、非常に良い方法ではないかと思う。また、投票結果
もより迅速に出すことができていいのではないかと私は考える。
このように日本は忙しい国であるからこそ、それに見合った投票の方法も考えて
いかなければならない。しかし、その一方で人々に行政への関心も向けさせる必要
がある。今回の長野知事選から「人々の意識を行動で示せば、自分たちの住んでい
る市、県、国を変える事ができる」ということを他の市民にも教えてあげてほしい。
そうすることによって、他の市民の行政への関心が高まるにちがいない。私は今回
の長野知事選はその点を十分に示すことができる選挙だったと思っている。
最後に行政とはどうあるべきか?私が感じた「行政」は小さなタテ割り社会とい
う感じだった。今回の長野知事選では市民は、自分達の意見を聞いてくれる人に投
票した。市民は行政経験豊富な人を望んでいるのではなく、自分達の意見に耳を傾
けてくれる人を待ち望んでいた。行政関係に勤めている人は今回の長野知事選をき
っかけに反省してほしい。もっと、市民の声を聞くべきである。また、自分たちも
市民の一人だということを認識してもらいたい。行政の中でもタテ割りというのが
和らげば、もっとよりよい日本社会がつくれるのではないのだろうか。田中氏には
そういった市民の声を聞いて少しでも市民の不安を取り除けるような努力をしてほ
しい。
参考したhome
Pagehttp://yasuo.jety.net/
サポーターによる選挙レポート、署名運動、「県の無駄遣い」
「県政へのコメント」、3つの誓いなど。
http://www.yasu-kichi.com/田中康夫の公式ページ、プロフィール、著作一覧。
ここから田中康夫のe−mail
addressも分かる。