行政学演習A  (020701

000557U  屋比久 美樹

 

テーマ案:新都心における米軍軍用地の返還跡地利用

 

 前回、新都心開発の際に地主が土地を那覇市に売ることは、地主にとって利潤があるのではないかという指摘があったので、経済的な面で基地が沖縄県に与える影響について調べた。

 

沖縄の県経済への影響(基地経済との関連)

基地内で働く日本人従業員の給与、土地を提供する地主の軍用地料、基地に所属する軍人や軍属とその家族の消費活動などの基地収入

 

昭和47年

50年

55年

60年

平成元年

4年

7年

11年

基地収入額

780億円

1,020

1,124

1,474

1,434

1,614

1,670

1,831

県民総支出に占める基地収入の割合

15.60%

12.5

8.3

6.5

5.0

5.1

4.9

5.0

                                     (平成133月現在)

(沖縄県庁ホームページより)http://www2.pref.okinawa.jp/oki/okinawa.nsf 

 

「地料と地価 高い県内土地価格」

 沖縄の地価の高さを鮮明に表わすのが、毎年3月に発表される県内地価公示だ。昨年の住宅地の1平方メートル当たりの平均価格は、マイナス0.1%となる11万5200円。わずかながらのマイナスだが、1974年の調査以来初めての下落となった。 ただ、下落したとはいえ、九州では、福岡の10万700円を抜き、全国でも11位となるなど高水準の地価に変わりはない。

その理由として常に挙げられるのが、米軍基地の存在だろう。本島だけでも、19.5%(1995年3月末現在)を占める基地の存在によって、ただでさえ狭い可住面積がさらに狭められ、地価に反映しているとの指摘だ。基地の存在、とりもなおさず毎年数パーセントずつ上昇する軍用地の地料が、地価を押し上げている。

県、那覇市、地主会の3者による土地買い上げの価格協定が結ばれたのは88年12月になってからである。

 同地区を国道58号沿い、同330号沿い、第2環状線沿いの道路に面した部分のほか、真ん中の中央地区や公園予定地区など7ブロックに分けた協定価格が取り決められた。1平方メートル当たりで最も高いのは、国道58号沿いの32万2900円。低いのは、公園予定地の7万8800円だった。

(沖縄タイムス 1996/05/09 より)http://www.okinawatimes.co.jp/spe/19960509.html

 

<参考資料>

 

 

「増える地主」

 防衛庁が1995年7月発表した「防衛白書」によると、1972年の復帰時の米軍基地は83施設、約278平方キロメートル。95年1月時点では、40施設、約237平方キロメートル。面積としては、23年で14.7%減少したことになる。

 これに対し、復帰時点の契約地主数は、自衛隊基地を含め2万9161人(那覇防衛施設局まとめ)。米軍基地の返還があるため、一時的に地主数が減る年もみられるものの、94年度末では、復帰時点に比べ15.6%増となる3万3724人に増加している。特に、87年度以降は毎年、増える一方である。

 

浦添市が1996年1月下旬に発表した牧港補給地区跡地利用基本計画策定調査。一般市民と軍用地主を対象に、跡利用に関する意識を探ったもので、そのなかに、地主に対して、土地の所有経緯を問う項目がある。

 753人(有効回収率51.3%)の地主のうち、「接収以前から所有」は、10人中2人に当たる20.6%。これに対して、「接収後、相続または贈与された土地」と答えたのは、57.8%と全体の半数以上を占めた。

 これを、80年、92年に行われた調査と比べると、「接収以前から所有」は、前々回が37.2%、前回が23%、今回20.6%と減少傾向を示し、逆に「相続または贈与」は、前々回52.3%から前回55.9%、今回57.8%と着実に増加している。

(沖縄タイムス 1996/02/22 より) http://www.okinawatimes.co.jp/spe/19960222.html

 

 上記のように、自分の土地でありながら、軍用地として使用され、思うように活用できない土地でも、相続の際に財産分与で多くの親族が土地の相続を希望するのには、やはり軍用地として貸すことにより利潤が得られるからだろう。しかし、地主が増えるということは、軍用地の返還の際に、跡地利用の協議がさらに難航するという問題もある。