行政学演習A no.2 2002.5.27
佐々木琴美
現在の公務員の数と分類
国際比較とその実態
わが国の1998年度末の公務員数は約441万5千人である。そのうち国家公務員が約4分の1の114万7千人、地方公務員が約4分の3の326万7千である。また、国家公務員数は法律により上限が定められており、さらに、政府は行政改革の一環として1968年度から定員削減計画を実施している(総定員法)。自衛官を除く行政部門の国家公務員は1967年度末から1997年度末までに90万人から85万人へと5万人減少した。地方公務員においても行革が進められ、公務員数の抑制が図られている。(統計で見る日本2000 総務庁「総務庁年次報告書」(平成10年)より)
ところで、この数値は諸外国に比べて少ないといわれている。1995年における人口1000人あたりの国家・地方公務員数(防衛関係職を除く)を先進諸国間で比較してみると日本は37万人であるのに対して、ドイツは70万人、アメリカは71万人、イギリスは78万人、フランスは93万人となっている。(平成10年 総務庁年次報告書)
しかし、一般的に日本は中央省庁の権限が大きい「官僚王国」というのが私たちの認識にはある。とすると、日本の政府は小さい規模で権限が強く生産性が高いということになるが、これは果たして本当であろうか、疑問である。
この回答として、各法人が考えられる。法人には、特殊法人、許可法人、公益法人などがある。特殊法人は政府自らの意志で作られたもので、許可法人は民間からの設立申請があって作られ、公益法人は民間が非営利目的で運営されている。これらに属する職員は公務員ではないが、仕事は国の事業や行政の下請けをする「官業」である。
国家公務員の分類
特別職―自衛官、国会・裁判所・会計検査院のなどの機関職員、各省庁の大臣・政務次官
一般行政公務員―現業職員:郵政、林野、印刷、造幣
非現業職員
:国立大学教授・助教授、国立病院の医師・看護婦・薬剤師など
:上記以外の行政職 中央省庁の職員など
この行政職公務員は非現業職員の約半分
公務員制度で改革が求められているのはこのキャリア組とノンキャリア組の身分差別である。その格差の内容を以下に記した。
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係長 |
課長補佐 |
課長 |
局長 |
次官 |
キャリア組 |
3年後 |
7年後 |
18年後 |
28年後 |
30年後 |
ノンキャリア組 |
7年後 |
17年後 |
29年後 |
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また、キャリア組に東大法学部出身者が多いことが問題となり1992年2月、第T種の採用のうち、東大法学部出身者の割合を5年以内で半分以下にする閣議了解を行った。
また、1996年7月第T種の採用を3割削減する方針が閣議決定された。しかし、これで官庁の雰囲気が変わったとは言い切れないのは事実である。