2002年度行政学演習A「レポート集」に寄せて     中村祐司(担当教員)

 

 講義の点で言えば、通年制から半期制への移行にはそのメリットを実感することが多くなってきたような気がする。教える側としては半期(前期ないしは後期)の間で、講義テーマに関わるそれなりの体系的説明を何とか完結させようとするからである。また、例えば受講生に課すレポートの提出においても、通年の講義では陥りがちな緊張感の欠如や間延びした雰囲気の発生を回避することができる。

 

  ゼミについて言えば、つい最近までこの半期制というしくみはどうにもやりにくいと考えていた。自分の学生時代の経験を基準とした思いではあるものの、やはり、3年4年を通じて、ゼミ所属の仲間と時には摩擦を起こし時には激しく議論しながら、設定したり設定された目標を共同で達成しようとした試みは、大教室における講義とは異なる醍醐味があった。同時に、ゼミに属することで初めて大学で学んだかのような充実感を覚えたものである。

 

 ところが、活用次第ではたとえ実質3カ月半でもかなりのことができる。その証拠となるのが以下に掲げるレポート集である。ゼミの内容やその成果を積極的に研究室HPに掲載していくというスタイルもここにきてようやく定着してきた。一つの秘訣として、タイムスケジュールを設定し、これに沿ってレポート作成やゼミ活動に取り組むという「基本ルール」がある。論文作成に向けて曲りなりにも15年以上試行錯誤してきた者として、確信をもって言えるのは、「良いものができたら公表する」だとか「自分に納得のいくものを作成したうえではじめて公にする」という姿勢では、いつまでたってもその日はやってこないということである。

 

 極論すれば、「締め切り」は論文作成の最も大切な原動力であると言ってよい。何を隠そう、この小論は、明日がゼミ生のレポート提出日であり、これを研究室HPに掲載する日であるからこそ、前日になって「泡を食って」書いているというのが実情である。この短いエッセーのようものですらそうなのであり、ましてや自分が今まで書いてきた論文のすべてはこのような状況から生み出されたといっても決して大袈裟ではない。

 

 こう書くと、何と志の「低い」者かと軽蔑されるかもしれない。しかし、こうした「他律的なルール」に助けられることによって、複雑で錯綜し変動し続ける社会現象を目の前にして立ちすくみながらも、普段は顕在化しない「高い」志を何とか維持できているのではないだろうか。

 

 レポート内容に濃淡の差が出るのは致し方ない。しかし、高等教育機関において行政研究に取り組むゼミ生それぞれがいずれも自己責任を果たしてくれ、「行政学研究室」という車両の「前輪」を支えてくれたと同時に前進させてくれたことがとてもうれしい。後期は共同研究・共同作業を通じて「後輪」を動かすことでゼミ責任を果たしてくれると確信している。                                                                                    (2002715日)

 

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2002年度行政学演習A「レポート集」に寄せて     武田祐也(大学院国際学研究科修士課程1年 行政学究室所属)

 

 2002年度行政学演習A(前期)が終了を迎えようとしています。各個人のレポートが完成しようとしています。全作品共々、非常に完成度の高い作品ばかりで、すばらしいレポート集になろうとしています。

 

 私は、2002年4月より、この宇都宮大学の大学院、中村祐司研究室に移籍をしてきまして、当月より、行政学演習に参加をさせていただいております。当初は前大学と文化の違いがたくさんあり、私自身、戸惑ったことが多かったのですが、演習を見てまず、思ったのは、各学生の熱心さにはびっくりしました。きちんと提出日には、しっかりとしたレポートを仕上げる勤勉さには正直、脱帽させられることが多かったです。

 

 また、演習の授業の内容も、質の高い授業が多かったように思われます。皆さん真剣にぶつかってきてくれるので、非常に活気あふれる授業が多かったです。そのような授業に参加していると、私としても、楽しい時間を過ごすことができ、月曜日の行政学演習が楽しみな授業となっていました。

 私も学部3年のときは、ここの演習と同じ形で「情報公開条例」をテーマとして、レポートを書いたことがありました。それは、ゼミ集として、形に残しました。ただ、それはおちゃらけで書いてしまい、ここの演習のようにはしっかりとはしていないものでした。

 

 しかし、そのゼミ集は今でも保管してあり、たまに暇なとき読んだりします。ですから、このように書いて残すということは、読み返すとそのときの生活状況などが甦ってきて、とてもよい思い出になることと思っています。

 

 私自身の後期へ向けて研究の目標は、やはり、千葉県我孫子市議会へ提出中の住民投票の陳情を通すことだと考えています。気分的にこれが通らないことには修論よりも、前大学の中央学院大学も卒業できていないような気がしています。何とか、私の素手で住民投票条例を制定させたいと思っております。

 

 後期は(いわば、行政学演習B)は、ジョイントゼミが12月にあり、山場を迎えます。宇都宮大学は上位のレジメ大賞やレジメ賞、受賞暦が多く、老舗だと聞いております。みんなで力を合わせて頑張っていきましょう。                                                                   (2002715日)