NGO/NPO(以下NPOで代表)による社会変容を考える上で、キーワードとなるのがやはりボランティアであろう。それはNPOそのものもボランティア意識の集合体と言うことができるからである。

ボランティアは実際のところGNPなど、経済的に数字が現れるものではない。しかし、2001618日付読売新聞によれば、日本で5000万人が週に4時間活動するとして、人件費にして年間約20兆円もの効果があるという。日本では人口の1割程度というボランティアが、アメリカなどでは活動が根づいているというのだから、その地域社会の充実度にはかなり差があると思われる。

自発的奉仕と呼べるこのボランティア活動は、日本では最近唐突に輸入された考えなのだろうか。そうではない。日本は行政が農村まで隅々に行き渡ったのはそう昔ではなく、長い間小さな部落単位で自治活動をしていた。ボランティアという言葉がやや遠く聞こえるのは、経済成長期に相互扶助の精神が忘れ去られがちであったに過ぎない。最近でも地域によっては共同奉仕活動しているところもある。この活動を、より組織化され、かつ計画的なNPO活動に呼び込めば、日本にも十分ボランティアが根づくことが予想される。

では、活動が一般日常化すれば、社会にどんな効果を与えるだろう。これは昔はありきたりだったものも含んで、以下のことが考えられる。まず、人と人とのつながりができる。より細分化、孤立化が進む現代社会において、ボランティアは人間の連帯を結び付けるものとして、これまで考えてきた以上に重要なものになるであろう。次に自分の置かれている環境、地域社会にもっと目がいき、意識と責任感の向上が見込まれる。問題点はないか、困っている人はいないかということを多く人々が考えるようになれば、日本にとりわけ強いと指摘されるお上意識も返上できるだろう。同時に、身をもってよりよい公役割、行政を望み、訴えかけるようにもなる。ところで、行政は公平を意識するあまり、その制度が本当に必要とする人にとっては不十分である場合もある。そして、市民との関わりをつなぐものは税金というお金である。このある意味不安定な行政の対社会活動も、民間のNPOならば、柔軟に最適配分を可能にするという面も持っている。ということは、NPO、ボランティア活動は、より万人にとって「豊か」な社会を実現できる活動とも言えよう。

ボランティア元年と呼ばれた1995年から今年でまだ7年目。NPOは更にその歴史が浅く、まだ発展途上、模索中という段階である。こういった分野は、単なる海外からの思考の輸入では長続きしない。私は日本人、日本社会の特性を考えながら、じっくりと日本型NPOを確立させていくべきであると考える。