国際協力論Tレポート@ 国際機関の行っている最近の国際協力事業を1つ紹介せよ
選択国際機関:UNESCO(国際連合教育科学文化機関)
選択国際協力事業:ベトナム北部の識字教育
1.1 UNESCOの活動
UNESCO(以下ユネスコ)は国際連合の専門機関の1つである。ユネスコは、教育・科学、文化の面で国際協力を進めながら、世界の平和を実現していく機関である。1945年11月発足し、本部はパリ市内。日本は1951年7月に加盟。
ユネスコの役目は、「お互いの無知や偏見を無くし(国際理解)、国や民族を越えて人々が協力することを学び(国際協力)、人々の友情と連帯心を育てながら、共に生きる平和な地球社会を作っていくこと」とされている。
2.1
国際協力事業(プロジェクト)の概要
プロジェクトの正式名称:ベトナム社会主義共和国北部山岳地域成人識字振興計画
プロジェクトの期間:2000年4月から2003年3月まで(3年間)
プロジェクトの対象地域:ライチュウ省、トゥアチュア郡およびフォントー郡
プロジェクトの主体:日本ユネスコ協会連盟、JICA
2.2
プロジェクトの背景
このプロジェクトは、ベトナム北西部山岳地域の貧困地域に住む少数民族の人々が、自力で生活を改善できるよう、そのもととなる基礎的な教育を普及しようというもの。険しい山の急斜面に米やトウモロコシなどを栽培し、ほぼ自給自足の生活をする彼らの生活は非常に厳しい。慢性的栄養不良の子供も多い。このような状況の改善には、外からの援助物資を届けるだけでは不十分で、彼ら自身が抱える課題についての、知識と技術を身につける必要がある。そこでこのプロジェクトが、ユネスコの実績に対するベトナム政府の厚い信頼のもとに、教育の支援要請を受けて発足した。
彼ら少数民族が話す言葉には文字がない。近年アルファベット表記が試みられたが、普及していない。また、少数民族の人々が、ベトナム人と位置づけられたのはそう昔ではない。そして、生活改善には法律や保健衛生などの知識の上で、ベトナム語の読み書きがどうしても必要になるという事情がある。
2.3
プロジェクトの目標とその内容
プロジェクトの目標は、村に1軒ずつ、村人が自主的に運営する「コミュニティー学習センター(寺子屋)」と呼ばれる小さな学び舎を建設し、教員の訓練を行い、今まで学習機会に恵まれなかった人々が学べるようにすることである。また、単に読み書きができるようになるだけではなく、村人のニーズに応じた学習を通して、暮らしが少しでも良くなることも目指す。そのために、教育施設の建設と人材養成を2大柱として活動している。
教育施設の建設については、あわせて40の村それぞれに1軒ずつの寺子屋を建設する。その寺子屋を支援する施設として、寺子屋を支援する施設として、寺子屋の先生方のトレーニングなども行う継続教育センターも、3ヵ所に建設する、という計画である。
人材養成は、次の2つがある。1つは寺子屋で識字教育や、他の様々な生活向上に役立つ活動を行う先生方のトレーニング。もう1つは村のリーダーたちで作る、寺子屋の運営委員会の委員に対する、寺子屋運営法や村人に必要な活動の方法などのトレーニングである。
また、今まで文字なしで生活してきた彼らに、識字教育と生活を結びつけ、魅力的なものにするために、農業技術や養蜂の教育を行うことも試みている。そのため、3月11日から22日にかけて、農業調査チームが来訪した。
リサーチソース
http://www.unesco.or.jp/