弓構え
   
  弓構えは取り掛け、手の内、物見から成り立つ、弓構えはすなわち引く前の準備段階をすべて終えるということである。ここで万全でなければ、的中は望めない。

 1.取り掛け
     
  ここでは私の経験から三つがけで引くことを前提として話を進める。
  まず、番えた矢野下から5センチくらいのところに弦枕をかけ、帽子の先は脇正面を向く。
  つぎに、そのまま上に上げ、矢が人差し指の中指側くらいにきたら帽子の先を的のほうに向ける。この時腕全体でひねること。小指側は手首の関節と腕の関節を一線にし、決して曲げない。中指は帽子に乗せるわけだが、わたしは、中指が3つに分かれている中の真ん中を親指の先にのせることにしている。人差し指は中指の上にのせ、二本とも伸ばす。この方法には異論もあろう。当然ながら、かけの中で親指は反らせる。

2.手の内
      
 これは昔から秘伝とされるものも多かったところで、大切なところだが、意見もいろいろである。説明するもの難しい。詳しくは手の内の項で述べる。
 

3.物見(弓構えの完成)
      
  物見を入れて弓構えは完成となる。物見の前に、全体的な弓構えの全体の形について述べる。
  教本には円相の弓構えが書かれており、大木を抱えるように、ゆっくりと作るのがよいとされる。しかしながらこれには教本1巻には書かれておらず、2巻の神永範士の写真が参考になる。平たいAの写真である。この平たいAの作り方を説明してみる。
  まず、腕をそのまままっすぐ前に弓構えの高さに伸ばす。つぎに、伸ばした両腕を、全体で内側にひねるようにする。この時も力をいれず、遠く構えることがコツである。実はこれだけなのだが。初めは徒手で、つぎに弓を持ってやってみるとよい。

  物見に入るが、実は物見の入れ方には私の知る限り、2つの考え方がある。それは深さの問題なのだが、呼ばれて振り返るように軽く入れるのと、深めに入れるという違いである。
  浅めに入れるというのは教歌に起因し、支持者ももちろん多い。しかしながら、特に初級者に対してはめいっぱい入れるよう教えることも多い。そして、深めに入れるよう、宇野範士も勧めている。
  私はまだ初級者の域にいるせいもあり、深めに入れることをお勧めする。しかしながら、見解が分かれる原因のひとつに、個人差が挙げられよう。首がどれだけ回転できるかは若干個人差があるが、物見の深さの違いは微々たる個人差でも大きく左右されるもので、この2つの見解が出たのだろう。
  最後に、より戒めねばならぬことがある。それはあごをしっかりひくことである。あごが浮いていることは初級者にはかなり見られることだが、実は重大な欠陥である。影響がでるのは単に物見にとどまらない。胴造りの不安定につながるのである。ふしぎだが、あごをしっかりひくと、胴造りがかなり安定する。