行政学演習・A

resume  vol.2(02・6・3)

990102X  阿部 真理子

 

1.摂食障害とは?〜知識編〜

 

@摂食障害・・・“eating disorder”の日本語訳。食行動に関する疾患の総称大きくは『拒食症(神経性食欲不振症)』と『過食症(神経性過食症)』の二つに分類される。一見別物のように思えるが、両方とも根底に共通する部分があるために、同一線上のものと見なされている。共通点を以下に示す。

         食習慣・食行動の異常…不食、偏食、大食、自己誘発性嘔吐

         認知の障害…身体的感覚の異常(やせの否認)、身体像認知(ボディ・イメージ)の歪み、「食べたら肥る」という誤解、肥満への極度の恐れ、体重によって簡単に変動する自尊心

         身体的な異常…無月経、低血圧、低体温、低カリウム血症、歯牙の腐食

一番は『痩せ願望』が強いということである。思春期から若い女性に多い病気だが、現在では小学生、男性などにも広がっている。

 

A拒食症(Anorexia NervosaAN・・・神経性無食欲症とも呼ばれ、10代の女性に多く、ボディ・イメージの著しい歪みのために、やせることや体重に対して異常な程にこだわり、極端なダイエットをすることで体重が標準体重を大きく下回るもの。また極端な体重減少にもかかわらず、肥満に対する恐怖感、心身成熟に対する拒否感などから、さらに痩せるために食制限や過剰な運動など)を行うことが多く、身体症状としては無月経、低血圧、低体温等があり、他にも体重減少が進むと様々な症状が現れてくる。また拒食がすすむと場合によっては餓死にまで至る危険性もあるが、本人は自分が病気であるという認識がほぼ無いため、極端にやせているにも関わらず、さらに体重の減少にこだわり、実際に医療機関における治療開始時には既に極端な低栄養な状態であることが特徴の一つとしてあげられる。かつてドイツで『思春期やせ症』と呼ばれていた。有名な例ではカレン・カーペンタがこの病気に苦しんだ。

【典型例の経過】
ダイエットを開始ダイエットを続けるうちに自分をコントロ−ルできるという過信が生まれてくる体重を減らすためのさまざまな行動が加わる健康を損なう

 

B過食症(Bulimia NervosaBN・・・神経性大食症とも言われ、ムチャ食いという言葉に表されるように自分では止められない感覚を伴って大量にものを食べることが定期的に起こるもの。過食症の中には、体重が増加することを怖れるために行う自己誘発嘔吐または下剤を乱用するといった浄化行為を伴う排出型と、浄化行為の無い非排出型がある。一般に過食症の患者の多くは10〜20歳代の若い女性に多く、若い女性の1〜3%に認められるとされており、定期的ではなく一過性にこのムチャ食い行動の経験のある人は、調査によると女子大生の40%にのぼるという報告もある。過食症にかかった場合は、過食行為だけでなく、その行為をした後に頻発する罪悪感、自己嫌悪等から抑うつ状態が生じることが多く、過去にダイエット歴のある人が多いのが特徴とされている。症状が進行すると、日常生活に支障をきたすようになり、人と会うことを避けたり、家に引きこもるようになる。治療法としては、精神療法、行動療法の他、薬物療法等が行われる。

【典型例の経過】
ダイエットを開始食べ過ぎが始まる体重増加に対する極端な恐怖パ−ジング(自己誘発性嘔吐,下剤・利尿剤乱用など)を思いつく後悔、自己嫌悪、空腹感などむちゃ食い習慣化する

 

C身体への影響

1.   無月経

2.   むくみ(低タンパク血症、栄養失調のため)

3.   低カリウム・低血糖・電解質の異常

4.   歯の溶解

 

≪My opinion≫

 

今回は「摂食障害とは何か?」のレポートだったが、その症状にはかなり個人差がある。毎日の生活で習慣化している人や、ある一定の時期だけ(やはり精神的に不安定になったりする時が多い)症状が出る人もいる。身体への影響ももちろん長引けば長引くほどひどくなるだろう。年数的にも10年近く(もしくはそれ以上)苦しんでいる人も少なくないようだ。というのは、昨今この病気がメディアなどに取り上げられ、メジャーになったために、インターネットという匿名の世界の中でカミングアウトする人がどんどん増えているのではないか。逆にティーンエイジの子の書き込みも増えていて、低年齢化、年齢層の広がりを感じた。

厚生労働省の厚生科学研究成果データベースで「摂食障害」をキーワードにして検索したところ、1997年〜2000年までで15件のヒットがあった。1997から国単位で研究が始まったこと、2000年度の研究発表が多いことなどから、やはりこの病気が現代病なのだと再認識した。また、ちょうど5月28日から読売新聞の医療ルネサンスという連載コーナーで摂食障害の特集を組み始まった。朝日新聞でも、過去にこれについての論文掲載があったのも発見した。これだけ公の場で取り上げられるのは、患者の増加・深刻化が背景にあるからだろう。国・省庁・自治体サイト、その他、財団法人や社団法人などの団体サイト、取り組みがあることが調べていくうちに分かった。他大学の研究室、大学病院でも調査しているようだ。個人的なサークル単位での自助会ばかりかと思っていたが、自分が思ったよりももっと大きい単位で対策・取り組みがなされていることが分かって嬉しかった。これらについては今後レポートの3・4章で詳しく書こうと思う。

次回は原因についてレポートする。

 

 

 

☆今回の参考資料☆

東京大学心療内科・・・http://psmut.umin.ac.jp/

@避難所・・・http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Asagao/5433/06op.html

滋賀医科大学精神医学講座・・・http://ben.shiga-med.ac.jp/~hqpsy/

厚生科学研究成果データベース・・・http://webabst.iph.go.jp/

『拒食症・過食症の治し方が分かる本』(高木周一郎/浜中禎子・著)