高速交通分科会レジュメ 宇都宮大学編
首都圏空港整備について
―成田・羽田棲み分け論を考える―
目 次
第一章 成田空港の歴史
第二章 空港周辺の環境対策(特に騒音問題)
第三章 成田・羽田両空港の現状
第四章 羽田空港国際化とその道筋
第五章 将来に向けて成田・羽田の在るべき姿とは
平成13年12月8日
宇都宮大学国際学部国際社会学科 佐々木哲夫(3年)
佐藤 理恵(3年)
山本 弘子(4年)
第一章 成田空港の歴史
歴史的経緯
成田空港は政治的に維持されてきた。
運輸省・公団は機動隊を導入し、空港建設を強行。
過激派、ゲリラと三里塚の空港反対農民との対立。
反対派の岩山記念館の存在・・・4,000m滑走路のフル稼働ができない
熱田さんらが用地を持つ・・・横風用滑走路工事の完全凍結
概観
1960年代に入ると日本の高度成長に伴い増え続ける航空需要を背景に、政府は羽田空港に続く新空港の建設を計画した。当初建設地が千葉県富里町に内定したが、反対運動が激化したため、再検討の結果その建設地を千葉県成田市に決定した。1966年7月のことである。
これが、成田空港の誕生である。しかし、成田空港の歴史は決して平坦な道ではなく、1978年の空港供用開始後も周辺住民との対立が続いた。この成田空港闘争であるが、成田空港予定地は、予定地内に住んでいる人にまったく相談がないままに閣議決定された。この成田空港闘争は1966年に始まり、1991年まで続いた。この間25年である。
1971年では、立木に人を乗せたまま切り倒したり、強制収用で機動隊5,300人と反対同盟5,000人が衝突したりする中で、機動隊員3人が死亡、逮捕者475人、負傷者150人が出た。そして1人が抗議自殺をした。この関係に変化が現れたのは、1990年である。江藤運輸大臣(当時)と反対同盟熱田派の農民との間で対話が行われたのをきっかけに、まずは1991年11月から1993年5月まで1年半、15回に渡って開催された「成田空港問題シンポジウム」において、成田空港の位置決定から現在までに至る対立の歴史を検証し、その原因を究明するとともに対立構造を解消するための具体策が示された。その後、1993年9月から1年間12回に渡って開催された「成田空港問題円卓会議」の場において、空港と地域の共生の道が話し合われた。1995年1月20日には、亀井静香運輸大臣(当時)は、成田空港問題円卓会議という住民と国の総括の後、「反対運動に関わられた農民の皆様へ」という謝罪の手紙を送っている。この手紙は閣議にも報告した。
反対運動に関わられた農民の皆様へ
成田空港は、昭和四十一年七月四日に空港の位置を決定して以来、約三十年を経過致しました。昭和五十三年五月に第一期地区の共用を開始したものの、あとの二本の滑走路の整備は、長い期間が経過しても、結局、その進展をみることなく、今日に至っております。
このような状況を踏まえ、運輸省としては、何故、滑走路整備がこれほどまで困難な問題になってしまったのかについて、過去に遡って自らに問い、また、反対運動に関わってこられた農民の方々のこれまでのご意見や当時の記録等を改めて読み返し、公開の場で討論を行って参りました。
この結果、成田空港問題の原因は、当時の羽田空港の混雑状況を理由に、空港容量を早く拡大したいという思いが先行し、地元の方々との話し合いがないまま空港の位置決定を行い、また、空港経過地内、騒音直下となる地域の方々と十分な話し合いができていない状況の中で、単に空港をつくる側だけの理由や事情で土地収用の一連の手続きをひたすら進める等一方的な空港づくりにあったと思わざるを得なかったところであります。
そして、このことが、国と農民との間に対立構造を生じさせ、しかもこれを解決する努力が十分でなかったため、長期間、農民の方々及び関係者に対し、苦しみを与え続けてしまったところであり、深く反省するとともに、誠に申し訳なく思っているところであります。
そこで、成田空港問題を解決するためには、いわゆる二期計画用地の収用採決の申請のすべてを取り下げ、今後は皆様方とは徹底して話し合いを行い、その合意を得て行うしかないと決心し、平成五年六月にこれを実施したところであります。
今思えば、皆様方の土地は、戦前から、或いは戦後から、皆様が長い間額に汗して、血の滲む思いで開墾されたものであり、苦労を積み重ねて肥沃な農地にまで育てあげられたものでありました。そもそも、その土地に、空港の位置を決めさせていただき、その大事な農地を空港のために、苦しみながらも提供していただけるためには、関係者の農民の方々と事前に十分な話し合いが必要であったことは当然であり、位置決定後であっても、また、たとえ反対運動が激しくとも、そうであればこそ、徹底した話合いの努力を尽くすべきであり、時間をかけるべきでありました。
他方、そのような一方的な空港づくりの中で、隣人関係、家族・親族関係が壊れ、また、皆様方が人権問題とされるような状況等も生じ、様々な苦悩を生じさせてしまったということにも思いを致さなければならないと思っております。そして空港問題が生じたため、普通の生活をしたいというお気持ちを約三十年の長きにわたり阻み、辛い生活を強いてきたことも事実だと思い、これらのことに対しても国として心から遺憾の意を表したいと思います。
私どもは、今度は、以上のような成田空港問題についての歴史的な認識と反省の上に立って、皆様方とあくまでも徹底した話し合いによって空港づくりを行って参る決意であります。
今後空港整備を進めるに当っては、まずこれまでの私どもの空港づくりに伴って生じた具体的な問題について、十分お話を伺わせていただくことから始めたいと考えております。そして当然のことながら、皆様方の将来の生活に不安のないよう、今後の生活設計等についても十分受け止めさせていただきたいと考えております。このような取り組みを誠心誠意積み重ねていくことを通じて皆様方のご信頼を得、その信頼関係の上に立って空港整備に対するご理解をいただいて参りたいと考えております。
国としては、以上の心構えで、今後の空港整備に臨む所存でありますので、意のあるところをご理解賜るよう、どうぞ宜しくお願いいたします。
なお、皆様方に私どもの気持ちをお伝えするに当り、成田空港の位置を閣議で決定した敬意に鑑み、この旨、閣議に報告したことを申し添えます。(引用;毎日インタラクティブ9月25日付http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/nature/topic/kamakura/2000/0905-1.html)
この円卓会議の合意項目に基づいて、環境対策の充実が図られた。防音工事済住宅の改築に対する防音工事および住宅防音サッシ修理費の助成、テレビ中継塔の建設、騒音・大気・水質の定期的測定、防音堤・防音林の整備、周辺の緑化事業など様々な対策を講じてきている(参照;新東京国際空港公団ホームページhttp://www.narita-airport.or.jp/airport/、前掲『毎日インタラクティブ』)。
第二章 空港周辺の環境対策(特に騒音問題)
第一節 環境について根拠となる法
環境基本法(平成5年11月19日成立 平成12年6月2日最終改正 公布日から施行)
この法には、公害防止計画の作成及びその達成の推進が、規定されている。
(公害防止計画の達成の推進)
第十八条 国及び地方公共団体は、公害防止計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。(引用;電子政府の総合窓口http://law.e-gov.go.jp/)
すなわち、国及び地方公共団体は、公害防止計画の達成に努めなければならない。航空機の騒音もこれに該当する。そのために、成田空港においては、航空機騒音の現状を把握するため、航空機騒音測定を行っている。それによると、開港時と比較して発着回数が大幅に増加しているにもかかわらず、航空機の低騒音化等により、騒音レベルはほぼ横ばいである(図1)。
第二節 航空機騒音対策
現在、成田空港と羽田空港を離発着する飛行機の騒音の被害を被っているのは千葉県民である。具体的な数字を挙げると、東京市街地上空だけを飛行するのは、1日あたり羽田発着約730便のうち低騒音機材限定の5便程である。その他は、あらゆる機種の飛行機が全て千葉県上空を飛んでいるのである。これは、横田空域を民間機が飛ぶことは難しいからである。横田空域に関しては後に述べるので、ここでは騒音問題を考えたい。
平成6年 航空法改正
初期のB747型機等の旧基準機・・・段階的に運行の制限を行う。平成14年度から運行禁止。新基準機への以降。
航空機の低騒音機について
ICAO(国際民間航空機関)付属書16により、亜音速ジェット機の騒音証明基準が定められている。
チャプター2・・・旧基準(騒音基準強化前の基準)。平成14年4月以降、運行禁止。
チャプター3・・・新基準(騒音基準が強化。現在最も厳しい基準)。昭和53年に決められた基準。
B777−200、B747−400、A321、DC10、MD11、MD90、B777、B767、B737・・・チャプター3に該当。いわゆる新基準機。
DC8、DC9-41 B707、B747、B727・・・チャプター2に該当。
技術の進歩により、一層の騒音低減が可能。現在、ICAOでは、チャプター3より更に強化された基準案の検討がなされている。
航空宇宙技術研究所におけるジェットエンジン低騒音化の研究
現用の旅客機並びに次世代の旅客機に用いられるジェットエンジンの低騒音化に向けた研究を行う。このエンジンの騒音は主に高速で噴出する排気ジェットと前面で大量の空気を吸い込むファンで生ずる騒音からなっている。そこでこれらの部分からの発生音を抑制する騒音源低減技術や、反位相の二次音との干渉によって互いにうち消し合うアクティブ騒音低減技術などの実用化の検討を行っている。
航空機のエンジンの試運転を行う際には、消音施設を使用する。平成10年末に新しい消音施設完成。
滑走路西側部分を中心に防音堤・防音林の整備では、「成田空港周辺緑化基本計画」に基づいた平行滑走路に係わる防音堤・防音林の整備を行っている。
住宅防音工事の助成・公共施設防音工事の助成。
空港使用料を財源とする周辺対策交付金は、千葉県・千葉県の14市町村と茨城県・茨城県の4町に交付され、公共施設等の防音施設の維持費、道路・公園等の整備費用の一部に当てられる(参照;日本航空編『JAL環境報告書』http://www.jal.co.jp/environment/index_01.html 平成13年、国土交通省ホームページhttp://www.mlit.go.jp/、 航空宇宙技術研究所ホームページhttp://www.nal.go.jp/)。
図1 成田空港常時測定局の位置及び航空機騒音と発着回数の関係
出典;新東京国際空港公団編『NAA環境レポート Vol.5』平成13年 p11
図2 機種による騒音コンターの比較
出典;全日本空輸編『ANA環境報告書』http://svc.ana.co.jp/ana-info/index.html 平成13年
第三章 成田・羽田両空港の現状
第一節 東アジアのハブ空港を目指して
下記のように、近年東アジアにおいては大規模空港の建設が進んでいる(表1)。特に、韓国の仁川国際空港との競争激化は避けられないだろう。更に、「すでに九州などからは、成田でなく仁川経由で欧米に行く人も増えている。羽田と成田は接続が不便だから、羽田が国際化されれば、羽田−仁川経由が便利という人も多くなるでしょう」との見方が韓国国内でもされている(引用;東京新聞9月11日付朝刊)。しかし一方では確かに、国内線専用となった金浦空港と仁川空港との接続が悪いため、韓国から欧米へ向かう旅客が成田経由で出発しているという話もある。また、地上から仁川空港へのアクセスは高速道路1本ということで、その高速道路が不測の事態で閉鎖されてしまった場合の対応も懸念されてはいる(参照;新東京国際空港公団編『グリーンポートレポート No.84』平成13年)。また、「その空港の抱える経済圏によって影響を受けるので、大規模空港だから即、航空会社がハブ機能を移転するということは考えられない」(新東京国際空港公団広報室)との話もある。
しかし、それでは潜在的に巨大市場とみなされている中国の上海浦東国際空港や、今後の韓国経済の成長を含めて考えると、東アジアの経済中心地である東京を抱える成田空港も、あぐらをかいて良いはずもない。また、我が国との航空協定締結申し入れ国(新規乗り入れ要求)ポルトガル、モルジブ、ケニア等33カ国(平成13年10月現在)であり、更なる発着枠の増枠が求められている(参照;新東京国際空港公団編『成田空港 ―その役割と現状―』平成13年 p59・60)。
第二節 地方と羽田・成田の交通アクセス
鉄道
【成田空港】
・ 京成電鉄(スカイライナーで京成上野より1時間、特急で1時間15分)
・ JR(成田エキスプレスで東京駅より1時間、快速エアポート成田で1時間30分)
【羽田空港】
・ 京浜急行(JRとの乗り継ぎで東京駅より30分)
・ 東京モノレール(JRとの乗り継ぎで東京駅より30分)
【成田・羽田間相互アクセス】
・ 京成線・都営地下鉄浅草線・京急線(エアポート快速特急は相互乗り入れ直通運転、標準所要時間1時間45分)
・ JR・東京モノレール(1時間30分)
都心部より各空港への主な鉄道アクセスルートは上記の通りである。これを見ても明らかなように、成田空港へのアクセスは最短でも1時間はかかり、成田空港と羽田空港を一体活用する上でも更なるアクセス強化が急務である。また、地方から羽田空港を利用して成田空港へと至る場合、1時間半以上を要する。その利便性を向上させるためにも、以下のような計画が東京都によって立案されている(図3)。
まずは東京駅と羽田空港を20分台で結べるようにするため、都営地下鉄浅草線の東京駅延伸計画がある。また、東急電鉄多摩川線と京急線を蒲田駅付近で結ぶ短絡線の計画もあり、渋谷駅から乗り入れができる東急沿線・京王線・小田急線沿線住民にとっても便利になる。更には、成田空港と羽田空港のアクセスも考えると、都営浅草線浅草橋付近での追い抜き線を整備することにより、エアポート快特の時間短縮などを見込む。同時に、北総開発鉄道北総・公団線と成田空港を接続し、京成上野から成田への所要時間を短縮させる。これが実現すれば、京成上野・成田空港間が47分と大幅に短縮される(東京都試算)。また、現在は全席指定席となっているJRの成田エキスプレスを、新幹線方式の「指定・自由席併用方式」、或いは立ち席券の発売などを検討し、かつ特急料金を値下げしてほしい。
航空
【成田空港】札幌、名古屋、大阪、福岡のみ
【羽田空港】国内47路線
現在、国土交通省と新東京国際空港公団が立ち上げた「成田空港国内線充実対策検討会」において、現在国内線用に回されている発着枠は5千回/年だが、これを2万回/年へと大幅に増やし、安定的な確保を目指すことが求められている。
バス
・ 各空港とも都内主要各駅、宇都宮地区、高崎地区、大宮地区、所沢地区、桐生・前橋地区、水戸地区などからのリムジンバス
・ 成田・羽田間にもリムジンバス(標準所要時間1時間15分)
各地方都市からの直通リムジンバス網が充実しており、乗り換えも何もなくそのまま空港ターミナルに到着できるため、利用者も多い。しかし例えば栃木県からの利用の場合、東北道はスムーズに流れても、朝晩は首都高速や東関道が渋滞を起こすため、空港への到着予定時間を多めに考えねばならない。
表1 東アジアの主要空港
空港名 |
仁川国際空港 |
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位 置 |
ソウル市の西52km(海上埋立) |
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開 港 |
2001年3月 |
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開港時 |
全体計画 |
面 積 |
1,174ha |
4,744ha |
滑走路 |
3,750m×2 |
3,750m〜4,200m×4 |
処理能力 |
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滑走路 |
17万回/年 |
53万回/年 |
旅客施設 |
2,700万人/年 |
1億人/年 |
空港名 |
上海浦東国際空港 |
|
位 置 |
上海市の南東約30km |
|
開 港 |
1999年10月 |
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開港時 |
全体計画 |
面 積 |
1,252ha |
3,200ha |
滑走路 |
4,000m×1 |
4,000m×4 |
処理能力 |
|
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滑走路 |
12.6万回/年 |
32万回/年 |
旅客施設 |
2,000万人/年 |
7,000万人/年 |
空港名 |
東京国際空港 |
|
位 置 |
東京都大田区 |
|
開 港 |
1993年9月(沖展U期供用開始) |
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現在 |
全体計画 |
面 積 |
894ha |
1,100ha |
滑走路 |
3,000m×2 2,500m×1 |
|
処理能力 |
|
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滑走路 |
25.6万回/年 |
27.5万回/年 |
旅客施設 |
― |
― |
空港名 |
新東京国際空港 |
|
位 置 |
千葉県成田市(東京より約50km) |
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開 港 |
1978年5月 |
|
|
現在 |
全体計画 |
面 積 |
550ha |
1,065ha |
滑走路 |
4,000m×1 |
4,000m×1 |
|
|
2,500m×1 |
処理能力 |
|
|
滑走路 |
13.5万回/年 |
20万回/年 |
旅客施設 |
2,700万人/年 |
4,100万人/年 |
出典;東京都都市計画局編『航空政策基本方針』http://www.toshikei.metro.tokyo.jp/ksk/index.html 平成12年
表2 日本で就航している主な航空機種データ
機種 |
航続距離 |
標準座席数 |
MD-11 |
13,230km |
285〜410 |
DC-10-40 |
9,265km |
250〜380 |
B737-400 |
3,815km |
146〜168 |
B767-200ER |
12,250km |
181〜255 |
B767-300ER |
11,320km |
218〜351 |
B777-200 |
7,000〜9,525km |
305〜440 |
B777-200ER |
11,040〜14,260km |
350〜440 |
機種 |
航続距離 |
標準座席数 |
B777-300 |
11,030km |
386〜550 |
B747-200 |
12,700km |
366〜452 |
B747SR |
3,700km |
533 |
B747-400D |
2,905km |
568 |
B747-400 |
13,570km |
416〜524 |
A320 |
5,550km |
150 |
A321 |
5,550km |
185 |
出典;新東京国際空港公団編『グリーンポートレポート No.85』平成13年 p7
図3 成田・羽田間の鉄道アクセス改善計画
出典;前掲『航空政策基本方針』
第四章 羽田空港国際化とその道筋
第一節
羽田空港国際化に関する行政担当者の考え・意見
国土交通省(国際企画調査室 Iさん)
目的は、成田空港の混雑解消と成田空港の利便性の問題である。現在では平成13年2月26日より、羽田空港において深夜国際チャーター便を、週2回運行している。通常便の深夜・早朝運行は、行わない。理由は、顧客が少ないのと、相手国との関係もある。騒音等の問題もある。現在、羽田には沖合滑走路等が建設されており、有効利用したい。(電話による聞き取り調査 平成13年11月15日実施)
東京都大田区(都市計画課 Hさん)
基本的には、大田区としては羽田空港の国際化を支持する。地元と共生していく、周辺の環境と調和した発展した空港を求める。これに関しては国と検討している。国際チャーター便を増やそうという案が、国土交通省から出ている。但し、一番内陸にあるA滑走路が、昨年の7月より朝5便が飛ぶが、かなりの音がする。しかし、大部分の滑走路が沖合滑走路のため、騒音問題はさほど大きなものにはならないだろう。現在は東旅客ターミナルを建設中だが、騒音に関してはかなり静かになっている。人間の耳による感覚でも静かである。(電話による聞き取り調査 平成13年11月15日実施)
新東京国際空港公団広報室
ただ単に羽田空港を国際化するからといって、成田空港の国際線を全て移転させるわけではない。「羽田は国内、成田は国際」原則を踏まえた上で、羽田と成田で離発着便を奪い合うのではなく、相互補完してゆくことが大切なのではないか。(公団本社における聞き取り調査 平成13年12月4日実施)
第二節 地方空港から見た羽田国際化
首都圏空港整備において、羽田空港の国際化はその効果が東京都に偏るという批判がある。しかし、もし羽田空港国際化が地方空港にとっても経済的効果があるのならば、日本全体においても大きな経済的利益となるに違いない。そこで私たちは、地方空港に羽田空港国際化をどのように見ているのか聞いてみた。全国にいくつもある空港の中で、私たちは2つの空港に聞き取り調査を行った。その1つは、福島空港である。栃木県には空港がないため、栃木県に一番近い空港でもある、福島空港に羽田空港国際化について聞いてみた。もう1つは、青森空港である。この空港を選んだ理由は特別ないが、東日本にある空港にEメールで質問したところ、青森空港が一番早く返事がきて私たちの質問に積極的に答えてくださったので、今回青森空港の意見を参考にさせてもらった。これら2つの空港関係者の意見はとても興味深く、私たちが想像していた以上に様々な意見が出た。
福島空港
1.経歴
昭和52年12月に「福島県長期総合計画」を策定し、その中で「航空運輸の需要増大に対処して関係施設の設置を検討する」こととされた。昭和57年2月に空港建設予定地を「須賀川東」地区に決定し、昭和61年11月28日に「福島空港の整備」を盛り込んだ第5次空港整備5箇年計画が閣議で決定される。昭和63年9月14日に「福島空港起工式」があり、平成5年3月20日に「福島空港」が開港される。
2.滑走路
2,500m1本
3.定期便
札幌、函館、名古屋、大阪(伊丹)、広島西、福岡、沖縄、ソウル(仁川)、上海(浦東)
質問:福島空港にとって羽田空港国際化は利益となるのか?それとも不利益となるのか?
回答:
ご承知のとおり、福島空港には東京便がありません。それは、福島空港が首都圏の補完空港の役割を果たすと考えるほど東京に近く、福島市から新幹線で約1.5時間の距離だからです。羽田空港が国際化した場合、成田空港よりも近距離のため、空港までの移動の面で有利となることから福島県民にとって利便性が上がるものと思われます。また、仙台空港と比較した場合、羽田空港までは遠距離であるが、集客力があるため路線数、便数が多くなることが予想されることから、やはり利便性は上がるものと思われます。
しかしながら、海外旅行の荷物の多さを考えると、混雑した首都圏を経由しての自動車移動は快適とは言えず、バスや鉄道等を乗り継いでの移動は苦痛とも言えると思います。福島県民にとって一番有益なのは1番近い福島空港から世界各地に旅行できることです。福島空港は約2,100台の無料駐車場を備えており、自動車専用道路により迷うことなく速やかに移動できるため、長期の海外旅行にはたいへん便利です。ただし、羽田空港の国際化によって利便性が上がれば、福島空港への路線誘致が難しくなり、十分な便益供与ができなくなることが危惧されます。(福島県土木部空港建設課担当者の話)
質問1:羽田空港が国際化されると、福島空港にとって利益となるのか?それとも不利益となるのか?
質問2:福島空港には国際定期便としてソウル便と上海便があるが、毎年これらの便を利用している海外からの観光客はどれくらいいるのか?
回答:
もし羽田空港が国際化されても、福島空港にとっては利益とならない。それよりも現在心配していることは、最近完成した成田空港第2滑走路により福島空港からのソウル便の利用客数が減るかもしれないということである。現在の福島空港を離発着しているソウル便の利用者は、観光客の4割近くは韓国人である。彼らが主に日本国内を旅行する場所は東京やディズニーランド、日光である。成田空港第2滑走路が韓日ワールドカップ・サッカーを視野に入れて、ソウル便の離発着のために主に使用されるという話を聞き(成田―ソウル間で日韓双方にB767で週21便増便可能、成田―釜山・済州・大都線で日韓双方にB767週8便可能)、しかも成田に乗り入れ要求をしている韓国の航空会社は、現在福島空港に離発着している航空会社と同じであるという話しから、福島空港は福島空港の利用客数が減るのではないかと非常に危機感を感じている。上海便に関しては、利用客者のほとんどが中国に行く日本人観光客である。(福島県庁企画調整部交通物流企画課担当者の話)
質問3:現在、県外あるいは海外からの観光客を呼ぶための、もしくは福島空港をより活性化させるための取り組みを行っているか?
回答:
毎年、韓国や上海にて、福島県の魅力をアピールしている。県知事や福島空港利用促進協議会の人々などがミッションとして上海や韓国に行き、福島県のことをアピールしている。韓国においては、新聞に記事を載せてアピールしている。福島空港は現在のところ、他の国々間との定期便を設ける動きはないが、エアラインの方に他の国々間とも定期便を設けたいとアプローチすることはある。また、チャーター便としては福島空港から上海や韓国以外でも飛行機を飛ばすことはかなり多い。(福島県庁企画調整部交通物流企画課担当者の話)
青森空港
1.経歴
昭和39年県設置・管理の第3種空港(滑走路1,200m)として供用開始された。平成2年3月に滑走路2,500mの新空港が供用され、現在に至っている。
2.滑走路
2,500m1本
3.定期便
札幌、東京、名古屋、大阪(伊丹)、関空、広島、福岡、沖縄、ソウル、ハバロフスク
質問:青森空港の乗客数は国際、国内を含めて年々、増えてきている。もし、羽田空港国際化が実現すれば、青森空港にとって何か利益はあるのか?それとも、不利益となるのか?
回答1:
【賛成意見】
現在、青森県から海外へ移動する大半の方は、成田空港を利用することを前提として考えています(韓国・ハバロフスクは青森空港と定期便で結ばれているので除く)。
ところが、成田空港へは、青森空港から羽田空港へ移動した後、更に陸路で移動しなければならないため、不便と感じている方は少なからずいるものと思われます(特にお年寄り等体の不自由な方にとっては、このように利便性の悪さは大きな障害となっていることが想定され、海外旅行を控えている方が結構いるのではと思っています)。
羽田空港が国際化されると、利便性が飛躍的の向上するため、上記のようなことがなくなり、結果としてより気軽に海外へ行ける(海外から来日する方にとっては、より気軽に日本を訪れることが出来る)ということから、青森空港の国内線(東京便)にも好影響を及ぼすと思われます(利用客が増えるため)。これは、青森空港のみならず、日本全体的にとって当てはまることだと思います。
現在、航空産業は多交通機関と比較して順調に発展していると思いますが、羽田空港国際化は更なる航空利用客増加の起爆剤的な可能性をもっているものと思っています。「羽田空港国際化」と併行して「成田空港の国内線充実」にも同様のことが言えると思います。
【反対意見】
羽田空港の国際化が実現すれば、当然成田空港・関西国際空港の利用客は減少することが予想されることから、羽田空港の一極化が際立つようになり、国土の均衡発展という観点からは好ましくないものと思われます。
また、羽田空港の一極化が進むと、万が一羽田空港が使用不能になった際に、代替施設が無くなるわけですから好ましくありません。加えて、既にTV等で報道されていますが、羽田空港の国際化に際しては、地域住民の説得が不可欠です。地域住民の方にとっては大きな犠牲を強いられることが予想されるため、無理をしてまで羽田空港国際化を推進する必要はないとも考えられます。(青森県在住の三橋氏の話)
回答2:
まず、青森空港は、現在、国際定期便として韓国ソウル便が週3便、ロシアのハバロフスク便が7月〜9月まで週2便就航しています。また、第三の国際定期便として中国との路線開設を目指し、取り組みを進めているところです。
県民の利便性を考えた場合、地域の空港から直接海外へ行ける直行便が最大の効果があります。世界の各地への直行便就航が不可能でも、例えば青森の場合はソウルで乗り継いで各地へ行くことができます。したがって、多くの県が地方空港の国際定期便の開設に向けた活動を行っています。
首都圏の空港のあり方については、基本的に国がその政策を決定すべき事項ですが、これまでは、羽田空港は国内線、成田空港は国際線として位置づけられてきました。確かに、都心に近い羽田空港に国際線が就航した場合、地方から海外への乗り継ぎは便利になりますが、一般的に同一空港で国際線、国内線の両方が就航している場合、国際線が優先されますので、その結果、国内線が減便されるようなことになれば、地方からみればかえって利便性が低下するおそれもあります。したがって、まず、国内線の需要を十分に満たした上で、羽田空港の国際化を議論すべきだと考えます。(青森県企画振興部新幹線・交通政策課の担当者、中村氏の話)
以上が、私たちが聞き取り調査を行った地方空港に関係する人々の意見である。これらの意見から、ただ羽田空港国際化すれば日本全体が活性化するとは思えない。羽田空港国際化する上で、いろいろ考慮しなければならないことがあるということがわかる。日本の首都圏空港整備において、首都圏だけの利便性や利益を考えるのではなく、地方空港とのネットワークも十分に考慮しなければならない。そうでなければ、首都圏と地方の経済格差はさらに広がり、日本経済全体が活性化することは難しくなるだろう。
そもそも成田空港がつくられた背景には、昭和30年代から羽田空港の処理能力の限界が1970年ごろに訪れるだろうという予測があったからである。当初は羽田空港の再拡張を検討したが、東京湾の港湾計画との調整が困難で、当時の港湾土木技術では難工事になることなどから、首都圏内の他の場所に新しい空港を建設することとなった。現在の羽田・成田の棲み分けの遠因はここにある。
また、昭和40年代には羽田空港の処理能力が限界に近づき、国際線の増便に対処するため、国内線を減便するという事態が起きた。このような政府の措置に対して、日本の航空会社や地方自治体が反発した。その結果、国際線定期便の発着回数を昭和48年12月時点で凍結した。しかし、その後も国際線が優先されることがあった。このように、国内線よりも国際線が優先されるということは事実である。今のところ、羽田空港が国際化されたら国内線は減便されるのかどうかはわからないが、もし羽田空港が国際化されれば、国内線は減便され国際線は増便される可能性はある。もし国内線が減便されるのであれば、羽田空港国際化による経済的波及効果は首都圏に集中することはまちがいない。これでは、地方空港や地方自治体にとっては不利益となり、ますます地方と首都圏との経済的格差は広がるばかりである。羽田空港を国際化し、羽田は国内、成田は国際という棲み分けをやめ、両空港の共生と最大限の活用を図る方法を考えるべきであるが、それと同時に地方空港とのネットワークも十分に考慮するべきである。
第三節 隣接空港棲み分けの例 ―アメリカ―
ワシントン首都圏には、レーガン空港のほかにダレス空港とボルチモア空港がある。ワシントンDC中心地と3空港の位置関係は、レーガン空港は7km、ダレス空港は42km、ボルチモア空港は51kmである(参考資料;『日本航空の主張』)。ワシントンDCの場合、需要中心地から最も近いレーガン空港は1,250マイル(約2,000km)以内の航空機に限定し、その基準は国際線・国内線、自国航空会社・他国航空会社問わない。反対に、ダレス、ボルチモア両空港は制限が無い。この棲み分け経緯は、レーガン空港(当時ナショナル空港)周辺の混雑や騒音が深刻化する一方、ダレス空港では閑古鳥が鳴いていた。これを是正するために棲み分けを行った。一方ニューヨーク都市圏にはラガーディア、JFK、ニューアークの3空港があり、それぞれ需要中心地から13km、20km、26km離れている。この場合は、ラガーディア空港が1,500マイル(約2,400km)の制限があり、その他の2空港は制限が無い(参照;日本航空編『日本航空の主張』http://www.jal.co.jp/keynote/)。
成田の国際旅客便年間約10万7千便の内、韓国、中国、マニラ、グアム、サイパン等の近距離路線便数は、2万1千便である。香港を含めればその数は3万便近くになるだろう。これを羽田に移行し、その発着枠を成田空港は新規、或いは増設の航空乗り入れ要求の受け入れや、国内線における幹線路線である札幌、名古屋、大阪、福岡、沖縄の各路線に加え、仙台や広島、鹿児島などからの乗り入れも認めてはどうだろうか。
第四節 羽田空港再拡張の必要性
国土交通省の首都圏空港容量需給予測によれば、現在65%程度である羽田発着国内線の平均ロードファクター(旅客搭乗率)は、今でも世界に突出して高い羽田の航空機大型化比率を前提にしても、羽田が再拡張後の2005年頃に70%、さらに2015年頃には80%を超え、年末年始や夏の繁忙期のように、座席の予約取得が極めて困難な状況が1年中続くものと予想されている。一方、国際線については、成田空港の暫定平行滑走路が供用されても2007年頃には需給が逼迫し、本来の2,500m平行滑走路が整備されて発着枠が年22万回に拡大したとしても、2015年頃には平均ロードファクターが70%を超え、再び需給は逼迫すると見込まれている。
次のグラフ1及びグラフ2からも分かる通り、路線による違いこそあるものの、平均して羽田空港発の乗客数は、諸外国の主要空港と比較しても突出して高いのが分かる。また、座席数も乗客数に比例するように多い。つまり、羽田空港を飛び立つ航空機の多くは、B747型機であることが、表2を参照の上、分かるだろう。つまり、世界の主要空港は小中型機と大型機が並存しており、羽田空港は大型機が大勢を占めているという光景を思っていただきたい。
こうした状況を緩和し、羽田国際化を実現するためには、羽田再拡張が必要と思われる。現在検討されているのは、B滑走路平行案、C滑走路平行案など数案ある(参照;国土交通省『航空関係のホームページ』http://www.mlit.go.jp/koku/koku.html)。前者のB平行案であると、多摩川河口にかかったり、船舶航路を塞いでしまったり狭めてしまうなどの懸念が示されている。しかし、ここでは工法や設計図などの詳細には触れない。
グラフ1 国内線1便当たり平均搭乗旅客数
出典;前掲『日本航空の主張』
グラフ2 国内線1便当たり平均座席数
出典;前掲『日本航空の主張』
第五章 将来に向けて成田・羽田の在るべき姿とは
羽田空港の発着枠が2015年にパンクするであろうと言う予測は、関係各方面からたびたび指摘されている事実であり、今回のNYでのWTCビル爆破テロを受けた航空需要の減少を差し引いても、近い将来、発着枠の不足は免れそうにない。新東京国際空港公団企画室広報室は、「現在の発着枠は13万5千回/年で、日割りをすると約370回/日となる。現在は1日あたりの発着は365回で、限界を迎えているのは言うまでも無い。暫定平行滑走路供用開始で20万回/年(548回/日)の発着枠が確保できるが、2010年にはその発着枠も限界に達する予測が出ている」と述べている。つまり、現在運用されている羽田空港の機能のままで国際化を進めることは、成田空港が運用不可能な深夜・早朝帯の国際チャーター便・定期便解放を考えても、不可能に近い。深夜・早朝帯の離発着を多数繰り返すことは、羽田空港の滑走路から対岸に位置する千葉県民はもとより、羽田空港のお膝元である東京都大田区民にとっても、受け入れがたい騒音公害に発展する可能性が高いからだ。深夜・早朝帯の運行は、やはり離発着数制限をかけるのが妥当だろう。
しかし一方で、「国際は成田、国内は羽田」といった従来の原則論を錦の御旗としてそのまま継続することは、諸外国からの乗り入れ要求、国内の海外旅行需要の増加に対処しきれないだろう。そこで、現在の「国際は成田、国内は羽田」を一歩進めた、「飛行距離制限を設けた羽田国際化」を提案する。
例えば飛行距離2,000マイル(約3,200km)と制限すれば、香港までは飛行できる。そして、中長距離路線の成田は、短距離路線の抜けた発着枠を、欧米や東南アジア、中東、アフリカなどへの路線として振り分けられるばかりでなく、新規国内線も受け入れ可能となるだろう。その際は国内線に使用する機種にもよるが、平行滑走路を使用することによって、4,000m滑走路への影響を極力抑え、効率的な運用を行えるだろう。そうでなくとも、飛行距離制限により成田から羽田へと出発地変更を行う路線は抑制され、羽田が国際化した後も我が国の最大国際空港は成田となり、世界の通例である国際定期優先主義にも合致できる管制運営が出来るだろう。また、羽田には距離制限を設ける一方、成田には距離制限を設けない。これにより、例えば今回のサッカーW杯での韓国路線等は、羽田と成田双方から出発できるようにする。また、通常用いられるB747シリーズ国際線仕様は重量も重く、離陸滑走距離が長く、離陸角度が低いために羽田空港からの出発にはそぐわない。つまり、B747シリーズ国際線仕様は羽田空港離陸を禁止とし(燃料なども少なくなった到着便は認可する)、成田空港へとまわす。その分の穴埋めは、B767・B777両シリーズなどの中型機を用いる。
それとともに東アジアのハブ空港を視野に入れて取り組むべき喫急の課題としては、成田空港の着陸料値下げである。成田空港着陸料を、暫定平行滑走路供用開始の来春から国際線は航空機重量1トンあたり現行の2,400円から2,600円へ値上げし、国内線は同1トンあたり2,400円から羽田空港と同額の1,800円へ値下げする方針であり、成田空港は国内線乗り入れ枠を増やす方針である(国内線ではB747型機が現行は約95万円であるのが、値下げによって約71万円〜73万円へと引き下がるが、国際線では約103万円へと値上げされる)。しかし、国際線値上げは仁川国際空港との競争力を更に低下させ、成田空港の地位を低下させる以外の何者でもないと考える(表3)。現在は「IATA(国際航空運送協会)に国際線値上げと国内線値下げを提案している段階」(新東京国際空港公団企画室広報室)であるという。
また、東京都の主張であり、かつ羽田空港離発着便騒音問題の解決法としては、在日米軍横田基地の管制区域返還がある。図4及び図5でも明らかなように、我が国の首都圏空域の西側を在日米軍が管理しており、許可を受けなければ民間機の飛行が出来ない。この横田空域の存在こそ、羽田空港離発着便の障害となり、千葉県方向への航路を採らざるを得ない状況においている原因である。つまり、この横田空域の返還、民間機の飛行自由化が実現すれば、羽田空港再拡張はもとより、国際化、飛行制限枠の撤廃など、羽田空港に関する諸問題の解決への糸口が見えてくるのである。
日本の首都圏空港整備において、首都圏だけの利便性や利益を考えるのではなく、地方空港とのネットワークも十分に考慮しなければならない。そうでなければ、首都圏と地方の経済格差はさらに広がり、日本経済全体が活性化することは難しくなるだろう。
表3 諸外国の主要空港との着陸料比較
出典;前掲『日本航空の主張』
図4 首都圏の管制区分
出典;東京都知事本部企画調整部基地対策担当編『東京都の米軍基地対策』http://www.chijihonbu.metro.tokyo.jp/kiti/index.htm 平成13年
図5 横田空域の立体図
出典;前掲『東京都の米軍基地対策』
【上記以外の主な参考資料】
杉浦一機著『知らないと損する エアライン〈超〉利用術』平凡社 平成13年
読売新聞 2001年10月18日付夕刊・2001年10月20日付朝刊
『ジャパンブリーフ2000年12月号』http://www.fpcj.jp/j/fshiryou/jb/0051.html
航空法http://www.tsukimiya.net/hou/index.html
「暫定並行滑走路供用開始後の新しい路線」http://www.page.sannet.ne.jp/km_iwata/zanteizoubin.html
成田空港平行滑走路早期完成促進協議会ホームページhttp://www.narita.com/start/index.htm
経済産業省編『平成12年度 通商白書』http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku/index.htm 平成13年